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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科34巻4号

1980年04月発行

雑誌目次

図譜・450

スポロトリコーシスの1例

著者: 植原八重子

ページ範囲:P.260 - P.261

患者48歳,男子,税関職員(横浜市在住)
初診昭和52年10月5日

綜説

Immune Complexと皮膚疾患(Ⅱ)

著者: 益田俊樹 ,   植木宏明

ページ範囲:P.263 - P.275

V.組織内および血中のICの証明法
 病変部組織や血中にICの存在を証明することはIC病の臨床において欠くことのできない重要なことである.しかしその方法の多くは免疫学的知識と技術およびある程度の設備を必要とするため検査法として一般化していないのが現状であり,しかも簡便さと正確さを備えた満足のいく方法はない.現在行われている方法は以下の如くである.

原著

Phialophora gougerotii感染症の1例

著者: 行木弘真佐 ,   石川英一

ページ範囲:P.279 - P.284

 68歳,男子.初診の7年前に脳卒中の発作があり,以後左半身不随となる.2年前に右頬部に擦過傷を2回負ったことあり.昭和52年3月頃,右頬部に黒褐色皮疹生じ,漸時拡大し,翌年6月には左頬部にも出現した.臨床的には紅斑浸潤局面と黒褐色結節を,組織学的には肉芽腫性変化を呈し,組織切片の培養にて黒色真菌を得,集落の形態,培養所見からPhialophora gougerotiiと同定,福代らのいう"chromomycosis様Phialophora gougerotii感染症辱"に一致すると思われた.治療としてはカイロの温熱療法,クロトリマゾールクリームのODTを施行するも効なく,5—FC 6.5g/day (100mg/day)を1,072g投与した時点で,臨床的にはかなり改善したが,組織内菌要素,培養はいずれも陽性であった.なお,5—FCの本分離菌に対するMICは25μg/mlであった.

Pityrosporum orbiculareを認めたPapillomatose Confluente et Reticuleeの2例

著者: 川岸郁朗 ,   安田耕一郎

ページ範囲:P.285 - P.289

1) Papillomatose confluente et reticuleeの2症例を報告した.
2) PAS染色組織標本で角層内に胞子様構造物を認め,培養でPityrosporum orbiculareを分離同定した.
3)文献的にPapillomatose confluente et reticuleeとPityrosporum orbiculareの関係について言及し,Pityrosporum orbiculareに対するsecondary abnormal reactionとしてPapillomatose confluente et reticuleeが発生する可能性について述べた.

蚊アレノレギー症の1例

著者: 安田和正 ,   平野京子

ページ範囲:P.293 - P.297

 9歳男子にみられた蚊アレルギー症の1例を報告するとともに,その発現機序への考察および蚊抗原性物質の局在と性状について若干の検索を行った.その結果long-term—sensitizing IgEとshort-term-sensitizing IgGが本症の発現に最も重要なfactorであると考えられた.また蚊抗原性物質はMain salivary ductが存在すると考えられる頭部のみならず,他の部位にも存在し,分子量1万以上の蛋白に即時型抗原性が強いことがわかった.

Mycobacterium marinum皮膚感染症の2例

著者: 関利仁 ,   滝沢清宏 ,   大塚正和

ページ範囲:P.299 - P.303

 右示指背部(60歳,女),右小指近位指節間関節背部(14歳,男)に発症したMy—cobacterium marinum皮膚感染症の2例を報告した.1例は塩酸ミノサイクリンの内服が有効であった.また本症の治療に関して,若干の考察をした.

頸部に結節状皮疹を伴った顔面播種状粟粒性狼瘡の1例

著者: 村木良一 ,   木村俊次

ページ範囲:P.305 - P.309

 33歳男子,3ヵ月来鼻背,眼瞼周囲に紅色小丘疹出現,次第に顔面全体に拡大,1ヵ月前よりさらに頸部に大小の皮下結節が出現した.顔面の皮疹は定型的であったが,頸部の皮疹はほぼ正常皮膚に覆われた皮下結節の形を呈した.組織学的には顔面,頸部とも中心部に乾酪壊死層を伴う定型的な結核結節であり,頸部の小結節では最外層の小円形細胞浸潤を殆んど欠如していた.抗酸菌染色はいずれも陰性であった.本症の頸部発生頻度について多数例の報告を検討したところ,1,2の報告を除き大部分は1〜2%と低値を示し,教室例についても同様の傾向がみられた.頸部発生頻度の低い理由,また組織学的に乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を形成する機序について文献的に若干の考按を加えた.

興味ある臨床像と検査所見を示したPityriasis Lichenoides et Varioliformis Acutaの1例

著者: 古川福実 ,   荻野篤彦

ページ範囲:P.311 - P.315

 14歳男性のアナフィラクトイド紫斑様皮疹を初発症状として発現したPityriasislichenoides et varioliformis acutaの1例を報告した.組織所見で液状変性と組織学的色素失調をみとめ,褐色の色素斑とスレート色の色素斑との関係を論じた.また,一過性に抗DNA抗体,直接クームス試験陽性であったことより,ウイルス感染と本症との相関を文献的考察により推論した.治療としては再発疹にerythromycinが有効と思われた.

経過中に皮疹部に一致して発赤を示した汗孔角化症の1例

著者: 宮地良樹 ,   梁瀬恵子 ,   今村貞夫

ページ範囲:P.317 - P.320

 播種状表在性光線性汗孔角化症(DSAP)の経過中,その皮疹に一致して,おそらく薬剤性と思われる扁平苔癬様変化をきたした1例を報告した.さまざまの所見より,この変化はDSAPの範囲内の変化とは考えにくく,DSAPの皮疹がlocus minorisとして働いた2次的変化と推察した.このことは,「正常」角化細胞で修復された皮疹の中央部に,まだ炎症を惹起しやすい要因が残っていることを示しており,悪性化などの汗孔角化症の二次的な変化を考えるうえで,cornoid lamella部のみでなく中央部も重要な場であることを示唆するものと考えた.

陰茎の非性病性硬化性リンパ管炎の1例

著者: 和田啓子 ,   長島正治

ページ範囲:P.321 - P.324

 31歳,既婚男子の冠状溝にみられた陰茎の非性病性硬化性リンパ管炎の1例を報告した.組織学的に真皮内に拡張したリンパ管の断面像を認めた.壁は一層の内皮細胞とわずかの弾力線維を含む結合織層からなり,一部内壁は線維性増殖のために肥厚し,この部には弾力線維を認めない.生検後数日で索状物は消失した.本邦では1978年末までに13例の報告があり,自験例を合わせ,これらを総括した.

Fiddler's Neck

著者: 中村雄彦

ページ範囲:P.325 - P.327

 Peachey&Matthewsは最近バイオリンおよびビオラを弾く人の頸部の顎当にあたる部分の皮膚に生じた種々の病的変化をFiddler's neckの名称を用いて記載している.これは主に局所の機械的刺激によるもので,Mills&Kligmanの提唱したacne mechanicaの成因とよく似ている.3例の症例を報告し若干の考察を加えた.

講座

蛍光抗体補体法の皮膚疾患への応用

著者: 西川武二 ,   栗原誠一

ページ範囲:P.328 - P.334

 Coons&Kaplan1)によって開発された螢光抗体法は,その後の免疫化学の著しい進歩により益益応用の範囲が拡大し,臨床領域にも極めて重要な検査法の1つとなった.皮膚科領域にあっては,梅毒血清反応(FTA-ABS)2),抗核抗体の検索3)の他,天疱瘡・類天疱瘡をはじめとするいわゆる自己免疫疾患の診断に欠かせない検査手技4)である.この背景には,特異性の高い標識抗血清が容易に得られるようになったことに加え,光学系の進歩,検査手技の標準化への努力などの諸要素が挙げられる5〜7).螢光抗体法と皮膚疾患に関する幾つかの綜説3〜12)にはいかに多くの疾患に本法が応用し得るかについて詳しく触れられており,また,つい最近にはBeutnerら一門の皮膚免疫病理学の成果の集大成ともいうべきmonographが改訂出版され,本領域に興味をもつ者にとっては有用な資料を提供してくれる13)
 私共は,螢光抗体法の1法として,従来あまり注目されることのなかった螢光抗体補体法の手技を確立し,本法の特徴を十二分に利用し,種々の皮膚科的応用を行ってきたのでここに一括することを試みた.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.334 - P.334

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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