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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科34巻5号

1980年05月発行

雑誌目次

図譜・451

Syringocystadenoma Papilliferumの1例

著者: 奥野博子 ,   杉浦丹 ,   石川謹也

ページ範囲:P.344 - P.345

患者23歳,女性
初診昭和54年1月13日

原著

Basal Cell Neviの小児例

著者: 山蔭明生 ,   斎藤義雄 ,   石川英一

ページ範囲:P.347 - P.351

 5歳女児に多発する基底細胞母斑(Basal cell ncvi, multiple basal cell cpithelioma, nevobasalioma,母斑性基底細胞上皮腫等,以後BCNと略す)と掌蹠の点状陥凹を認めた.家族歴は母方の祖父母が従兄妹同志であり,母に同様の結節性皮疹と掌蹠のpitsを認め,さらに家人の言では10歳の兄にも同様の結節性皮疹をみるという.背部小結節の生検組織像は典型的であった.本例は顎骨嚢腫,骨形成異常,異所性石灰沈着,眼・中枢神経症状を伴わず,現在みられる皮疹と遺伝歴のみではncvoid basal cell epithelioma syndrome (以下NBCESと略す)と呼称するには必ずしも相応しくないと思われるが,今後上述した他の外胚葉・中胚葉系の異常が発現し,NBCESに移行する可能性がある.

異常弾力線維の増生を伴う結合織母斑—電顕的観察

著者: 伊藤雅章 ,   諸橋正昭 ,   古田島昭五

ページ範囲:P.353 - P.360

 組織学的に膠原線維,弾力線維両者の増生がみらねた21歳,女子の右大腿部に発生した結合織母斑の1例について報告した,電顕的検索で正常の構造とは全く異なる特異な形態を示す興味ある弾力線維が観察された.こねらの弾力線維の基本構造は低電子密度の均質な基質とやや電子密度の高い線状,点状のdense granular septaを有する主幹部と,この主幹部から枝分れし,また互に網目状に癒合している分枝部とからなっていた.増生した結合織にみられた細胞成分は正常にみられる線維芽細胞の形態とは全く異なっていた.これらの細胞は膠原線維や異常弾力線維と形態学的に密接な関連を示していた.

Myotonic dystrophyに併発したPilomatrixomaの1例

著者: 内田博子 ,   千葉紀子 ,   下田祥由 ,   関建次郎 ,   志沢喜久 ,   峯木仁志 ,   三宅良彦

ページ範囲:P.361 - P.365

 42歳,男性,同胞4人中2人に若年性禿頭あり.21歳頃より握力低下,言語不明瞭,頭髪の脱毛が著明となり,22歳頃より,頭部,頸部,背部に皮下結節が生じた.34歳頃より階段の昇降が困難となり,某病院内科にて,myotonic dystrophyと診断された.同時に,皮下結節の切除を希望し,単純切除術を行ったところ,pilomatrixomaの病理組織学的所見を呈していた.myotonic dystrophyに併発したpilomatrixomaの1例を経験したので,文献的考察を加え報告した.

Granular Cell Tumorの1例—本邦報告例の統計的観察

著者: 桜井学 ,   稲葉鋻

ページ範囲:P.367 - P.374

 55歳,主婦の大腿にみられたgranular cell tumorの1例を報告し,自験例を加えた60例(皮膚発生例26例)につき文献的に考察した.
性別では一般にほほ1:3(皮膚発生例のみではほぼ1:4)で女子に多く,20〜40歳代に好発し,30歳代にピークがみられた.初診時平均年齢は女子33.9歳,男子40.8歳であつた.発生部位は皮膚では,躯幹14例,陰肛部6例,顔面・頸部4例,四肢2例,皮膚以外ては舌・口腔内9例,胃6例,筋肉内5例,眼窩と気管支各2例,下垂本,喉頭,食道,腎盂,膀胱,神経内各1例の順であった.
その他の臨床的事項,組織所見についてものべた.

T細胞リンパ腫—羊赤血球受容体を持つ腫瘍細胞を検出し,経過中Pneumocystis Carinii肺炎を合併した症例

著者: 片山淳子 ,   西田健樹 ,   西岡清

ページ範囲:P.375 - P.380

 35歳,女性.7〜8年来,四肢の痒疹様皮疹,顔面の紅斑が出没をくり返しているうらに,発熱,全身表在性リンパ節腫大,項部,耳前,耳後部の小結節が出現するようになった.項部小結節及び頸部腫大リンパ節生検にて,histiocytlc typeの悪性リンパ腫と考えられた.同時に,腫瘍細胞の表面マーカーを検討したところ,腫大リンパ節から分散した細胞の80%の高率に,羊赤血球とのロゼット形成を認め,腫瘍細胞がロゼット形成をおこなっていることを電子顕微鏡下で確認したので,T細胞リンパ腫と診断した.免疫学的検査上,γ—グロブリンの高値,ツ反は陰性,DNCB感作は不成立であった,症状は,強力な化学療法に抵抗し,経過中,胸部X線所見上まれな肺胞性間質性肺炎を併発し,続いてPneurnocystiscarinii肺炎にて死亡した.

Pseudopyogenic Granuloma—2例の光顕的・電顕的観察と本症の位置づけについて

著者: 木村俊次 ,   栗原誠一

ページ範囲:P.381 - P.389

 症例1,30歳男子.左後頭部に約1年半前から紅色浸潤局面および丘疹を多発した,症例2,32歳女子.右耳介内面に約4ヵ月前から紅色丘疹を多発した.ともに誘因はない.組織所見は2例とも定型的で,大型類円形の内皮細胞で囲まれた小血管の増生とリンパ球・組織球・好酸球・マスト細胞から成る稠密な細胞浸潤とを示した.病変は真皮全層に存在した.電顕所見も従来の記載に一致し,大型で小器官と細線維とに富む内皮細胞が認められた.Pscudopyogcnic granulomaおよび類似疾患についての原著論文を比較・検討し,さらにこれまでの内外での追加報告例について検討を加え,本症の位置づけについてのわれわれの見解を明らかにした.

乾癬性関節炎の1例

著者: 竹松英明 ,   小幡正明 ,   力丸暢

ページ範囲:P.391 - P.394

 46歳,男性の典型的な乾癬性関節炎の1例を報告した.
関節病変は,手指のスワン・ネック変形.足趾の槌趾,手根骨,足根骨の破壊,硬化,DIP関節の骨性強直を来し,慢性関節リウマチの変化および仙腸関節では強直性脊椎炎の変化を呈するが,非対称性で,変化が強い,皮疹は膿疱性乾癬で,爪の変化は高度.関節症状の消長は,皮膚症状のそれと一致している.
HLAの分析では,B27を検出できなかった.
乾癬性関節炎に特徴的な所見について言及した.

小児汎発性膿疱性乾癬の治療

著者: 宮地良樹 ,   尾崎元昭 ,   荻野篤彦 ,   河村甚郎

ページ範囲:P.395 - P.398

 ステロイド剤が乾癬の膿疱化を誘発することは知られているが,本邦での小児汎発性膿疱性乾癬の報告例のほとんどにステロイド剤が治療として使用されているのが現状である.PUVA療法などの有効な治療法が確立されている現在,有害とされるステロイド剤は用いるべきでなく,安易な投与は本症を難治化しかねない.当初より内服・外用を含めて一切のステロイド剤を使用せずにメソトレキセートおよびPUVA療法にて良好な結果を得た1例を報告し,本疾患の治療原則につき考察した.

Duhring疱疹状皮膚炎様症状を呈した天疱瘡

著者: 小林仁 ,   深谷徹 ,   飯塚一 ,   金子史男

ページ範囲:P.399 - P.405

要約 47歳,男.ほぼ全身に激しい瘙痒を伴う,輪状あるいは環状の紅斑と小水疱を生じた.治療ではsulfone剤に反応し,臨床的にDuhring疱疹状皮膚炎(DH)を考えさせた.しかし,組織学的には表皮内水疱であり,棘融解像はないがeosinophilic spongiosis(ES)を示した.免疫組織学的には螢光抗体直接法でIgG,補体C3が表皮細胞間に沈着し,間接法でも表皮細胞間抗体(IC-Ab)の存在がみられた,電顕所見では表皮細胞間の強い浮腫と一部にintercellular dense layerの消失像を認めた.これらのことから天疱瘡(Pm)の1型と考えられた.また,ESの出現機序については表皮のspongiosis,水疱内と真皮上層部に肥胖細胞あるいは好塩球による脱顆粒現象が観察されたことから,eosino—phili chemotactic factor or anaphylaxis(ECF-A)による反応であることが推定された.

ジューリング疱疹状皮膚炎の1例

著者: 大井正俊 ,   田上八朗 ,   山田瑞穂

ページ範囲:P.407 - P.410

 激痒を伴う膨疹状紅斑,丘疹,環状の小水疱,痂皮,瘢痕が混在してみられた23歳,男子のジューリング疱疹状皮膚炎の定型例である.ヨードカリ,トラフリル貼布試験陽性を示し,組織学的に,水疱周辺の真皮乳頭部に好中球を主とする微細膿瘍がみられ,無疹部皮膚の螢光抗体直接法では,表皮真皮境界部に沿ってIgAの顆粒状の沈着がみられた.Dapsoneによく反応した.

IgG型抗基底膜抗体が証明されたHerpes Gestationis

著者: 細川みゑ子 ,   岡吉郎 ,   五十嵐良一 ,   佐藤信輔

ページ範囲:P.411 - P.416

要約 25歳,女性の妊娠性疱疹の1例を報告した.初回妊娠2ヵ月目頃から発症.臍部および四肢にほぼ対称性に瘙痒の激しい小水疱および緊満性の大型水疱を混じえる浮腫性紅斑を認める.粘膜疹は認めない.検査成績は白血球数15,200,好酸球6%.水疱内容に好酸球多数,ヨードカリ貼布試験,陰性.IgE 3,257u/ml.組織学的には乳頭層の浮腫と基底膜下のリンパ球,好酸球浸潤が著明で,電顕的にも表皮細胞の変性よりも真皮の浮腫性変化の方が著明であった.螢光抗体法では,皮疹部の基底膜部にIgG,C3,C9が線状に沈着.また血清中にIgG型抗基底膜抗体を認める.分娩は正常で健康男子を出産した.出産後,皮疹は軽快したが,約1年後も抗体価にはとくに変動がみられず,抗体価と臨床症状に相関は認められなかつた.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.416 - P.416

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committceから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました,皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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