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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科35巻1号

1981年01月発行

文献概要

原著

抗核抗体を認めた尋常性天疱瘡の2例

著者: 橋本隆1 杉浦丹1 栗原誠一1 西川武二1 籏野倫1 原田敬之2

所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科教室 2立川共済病院皮膚科

ページ範囲:P.15 - P.20

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 症例1は75歳,男.約4ヵ月前より躯幹を中心に水疱およびびらん出現.症例2は77歳,男.約1ヵ月前より躯幹に水疱,びらん出現.2例とも組織学的に表皮下層に棘融解性水症疱を認め,螢光抗体直接法で表皮細胞間にIgGとC3の沈着を認め尋常性天疱瘡と診断したが,血清中には抗核抗体のみ陽性で表皮細胞間物質抗体は見出せなかった.2例ともSLEとの合併を思わせる臨床症状はなく,抗核抗体の性状も1例目は抗ENA抗体に属すると考えられ,2例目は抗DNA抗体を含むものと考えられ共通性は認められなかった.
 患者血清をモルモット肝粉末で吸収すると抗核抗体の減弱とともに抗表皮細胞間物質抗体が顕性化したこと,患者血清で正常ヒト皮膚を培養すると表皮細胞間にIgGの沈着が認められたことより,抗表皮細胞間物質抗体偽陰性と考えた.そしてその原因として抗核抗体の存在が表皮細胞間物質抗体の検出を何らかの形で防害している可能性があると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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