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原著
文献概要
臨床的に浸潤性紅斑の所見を呈した乳癌の皮膚転移,64歳女子例を報告した.組織学的には,真皮のリンパ管とおもわれる管腔内に腫瘍細胞が充満し,後に潰瘍化した部では,表皮向性癌の,transepidermal climinationとも考えられる所見がみられた.また真皮内腫瘍細胞周囲の間質には,アルシアン青染色・コロイド鉄染色陽性の酸性ムコ多糖類の沈着が認められ,臨床的に紅斑を呈した原因として考えられる若干の可能性について考察した.電顕的には,腫瘍細胞の細胞間に密接な接合部構造が認められた.細胞内には分泌顆粒はみられず,粗面小胞体及びゴルジ装置が豊富に存在し,乳腺上皮細胞由来の腫瘍細胞であることを示唆する所見と考えられた.
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