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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科35巻10号

1981年10月発行

文献概要

原著

Papulosis Cytovacuolisata Systemica(仮称)—系統的に細胞の空胞化を示す1疾患

著者: 金丸哲山1 増沢幹男1 神崎保1 斎藤隆三1

所属機関: 1北里大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.913 - P.919

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 臨床的に皮膚及び粘膜の小結節を主体とし,季節的消長傾向があり,骨,関節症状を伴う5歳男児例を経験した.全身骨レントゲン写真にて両側脛骨,上腕骨,鎖骨,手根骨にerosionを認めた.病理組織学的所見では,病変部において,真皮(粘膜固有層)及び表皮(粘膜上皮)内に無数の空胞化した細胞がみられ,特に表皮内では,有棘細胞の空胞化が連続的に起こっているのがみられた.一方,臨床的に正常に見える皮膚,リンパ節,関節滑膜,骨にも同様の空胞化した細胞がみられた.特殊な代謝異常症を疑い,種々検索するも,特殊染色等で沈着物質を同定できなかった.さらに電顕的には,全く異なった胚葉から生じた細胞でありながら,細胞の変化(細胞質内に多数の小空胞を形成)は同一であった.また,これらの空胞化は,smooth endoplasmic reticulumと連続している所見がみられた.このことより,本症例を系統的に細胞の空胞化を示す新しい疾患と考え,papulosis cytovacuolisata systemicaと仮称した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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