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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科35巻11号

1981年11月発行

雑誌目次

図譜・469

ムチン沈着性脱毛症

著者: 高橋収 ,   木下浩彰

ページ範囲:P.990 - P.991

患者 42歳,男(No.53-1227)
初診 昭和53年4月24日

原著

SLEに伴うLupus Erythematosus Profundusの1例

著者: 禾紀子 ,   橋本隆 ,   栗原誠一 ,   西川武二

ページ範囲:P.993 - P.997

 SLEの増悪と共に両耳前部に皮下硬結の出現をみた44歳,女性のLupus Erythe—matosus Profundus (L.E.P.)例を報告した.20年前にも同様の皮疹が,やはり全身症状と共に両上腕,背部に出現,硬結は陥凹を残し治癒した.さらに,自験例をもとに,本邦におけるL.E.P.報告例34例の,SLEに伴うもの,DLEに伴うもの,L.E.P.単独例について検討した結果,L.E.P.においては,より一層,SLEの発症に留意し経過をみなければならないと考えた.

偽腺様有棘細胞癌(Pseudoglandular Squamous Cell Carcinoma)の1例—瘢痕部に生じ、老人性角化腫からの移行を思わせた症例

著者: 窪田泰夫 ,   斎田俊明 ,   大原国章

ページ範囲:P.999 - P.1007

 78歳,女子.数年前より頭部の瘢痕部に自覚症のない小疣贅様皮疹が生じ,昭和55年7月よりその1つが次第に隆起,増大した.初診時22×18×8mm表面凹凸不整,淡紅色弾性硬の半球状腫瘤を認める.組織学的には腫瘍全体に腺腔様構造を示し,内腔にはacantholytic, dyskeratotic cellを容れる.また腫瘍辺縁部には老人性角化腫の像もみられ,移行を思わせた.昭和43年から昭和55年までの本邦報告20例を集め,統計的考察を行った.さらにPAS, Al-blue染色で腫瘍細胞および腔内無定型物質に陽性所見を得たので,組織化学的検索の1つとして腫瘍組織中の酸性ムコ多糖をアセテート膜二次元電気泳動を用い分析した.その結果,正常皮膚になかったC4Sがみられ,正常部と比しHA量の増加が著明であった.このことから本症の管状・腺様構造の意義に関し,若干の考察を加えた.

原発性全身性アミロイドーシス並びに皮膚アミロイドーシスにおける直腸生検

著者: 森嶋隆文 ,   石川豊祥 ,   山口全一

ページ範囲:P.1009 - P.1014

 原発性全身性アミロイドーシスの1例,ことに皮膚症状の特徴と直腸生検標本の所見について述べた.これら所見をふまえて,従来から原発性限局性アミロイドーシスの代表的疾患とされているアミロイド苔癬10例とBowen病と紅皮症に続発したと思われる皮膚アミロイドーシス,それぞれ1例の計12例について直腸生検を行ってアミロイド沈着の有無を,主としてダイロン染色を用いて検索した.いずれの例も直腸生検標本内にアミロイドの沈着はなく,Bence-Jones蛋白も陰性であった.我々が検索した範囲内ではアミロイド苔癬が全身性アミロイドーシスの皮膚症状であることを肯定しうる所見はえられなかった.アミロイドの同定に有用とされているダイロン染色やコンゴ赤染色は好酸球の顆粒を非特異的に染色しうることを述べた.

サルコイドージスの2例—特に67Ga-citrate ScintigraphyとAngiotensin Converting Enzyme値測定の診断、効果判定における有用性について

著者: 寺尾祐一 ,   中野和子 ,   浅井芳江 ,   吉村邦彦 ,   濱田稔夫

ページ範囲:P.1015 - P.1020

 症例1は48歳,女.膝蓋部,顔面に結節型の皮膚サルコイドージスがみられ,肺,眼にもサルコイドージスとしての病変を有し,Kveim反応陰性であったが,細胞性免疫能の低下が認められ,67Ga-citrate scintigraphyにて両側肺門の他,両側耳下腺,鎖骨上窩,鼠径部にRIの集積が高度であった.Prednisolone内服,眼科的にdexamethasone局注で,症状は改善され,RIの異常集積は認められなくなった.
症例2は25歳,妊娠3ヵ月の女.顔面,上腕に結節型,背部に皮下型の皮膚サルコイドージスがみられ,肺サルコイドージスを合併し,Kveim反応陽性であった.妊娠中はステロイド投与を行わずに経過観察し,分娩後の67Ga-citrate scintigraphyでRIの異常集積はみられず,また血清angiotensin converting enzyme (ACE)値は正常値よりやや上昇していたが,Gaの異常集積のみられない結果とあわせて非活動性のサルコイドージスと診断し,現在も経過観察にとどめている.
これら67Ga-citrate scintigraphyと血清ACE値測定がサルコイドージスの特に活動期の判定および治療判定に有用であることを述べ,併せて妊娠とサルコイドージスの関係についても若干の考察を加えた.

局所型多発性グロムス腫瘍

著者: 林葉子 ,   西島明子

ページ範囲:P.1021 - P.1026

 右母指球の蔓状腫瘤を呈した44歳女子例を紹介し,内外51例の局所型多発性グロムス腫瘍の報告を集録した.
本腫瘍は局在して発生する青ないし紫色の蔓状腫瘤で,自発痛を欠くが圧痛はあり,真皮深層から皮下深層や筋肉にまでおよぶものもある.紅織は多くが単発型と同様,大小の血管腔を囲むグロムス細胞よりなる集塊を呈する.

Erythema Dyschromicum Perstans(Ashy Dermatosis)—3例の報告と文献的考察

著者: 生冨公明 ,   木村俊次 ,   西川武二 ,   籏野倫

ページ範囲:P.1027 - P.1033

 ①最近,著者らはErythema dyschromicum perstansの記載に一致する42歳男子,41歳男子,32歳男子の3例を相次いで経験した.②組織学的にはいずれもLichenoid tissue reactionを呈した.③1例については電顕および抗基底膜抗体による螢光抗体補体法により基底膜部の変化を観察し,基底細胞および基底膜の部分的変性,破壊を認めた.④Erythema dyschromicum perstansと類似疾患との異同につき若干の文献的考察を試みた.

木村病の1例

著者: 里見行義 ,   本間喜蔵 ,   堀真 ,   吉田彦太郎

ページ範囲:P.1035 - P.1041

 55歳男子の木村病の1例を報告した.初診時の組織学的検査においてWellsら1)のいうSubcutaneous angiolymphoid hyperplasia with eosinophiliaに一致する所見がみられ,数ヵ月後にはリンパ濾胞様構造を中心とする典型的木村病の組織像がみられた.このような所見より,木村病とWellsらのいうSubcutaneous angiolymphoid hyperplasia with eosinophiliaおよびその類縁疾患とは本質的には同一疾患ではないかと考えた.

紅斑落屑性皮疹を呈したミベリ汗孔角化症

著者: 塚越葉子 ,   木村俊次

ページ範囲:P.1043 - P.1047

要約 2歳女児,生下時より大腿内側に不整形,一見乾癬を思わせる紅斑落層性皮疹を呈したミベリ汗孔角化症の1例を報告した.皮疹は漸次増加増大し瘙痒あり.組織所見にて,皮疹辺縁部に角質柱すなわちcornoid lamellaの形成が顕著であり,連続切片を作製したところ毛孔との関連が明らかに認められた.なお検索した限りでは汗孔との関連は見出し得なかった.以上より本例は,掻破による炎症性変化を伴ったミベリ汗孔角化症と考えられた.これを機会に本症の異型例について若干の文献的考察を加えるとともに,汗孔角化症一般の分類について再検討を加え,臨床像・組織像の両面を考慮した分類を提唱した.

Malignant Trichilemmomaの1例

著者: 林正幸 ,   松本鐐一

ページ範囲:P.1049 - P.1053

 82歳,男子の両耳介後面付着部に生じたmalignant trichilemmomaの1例を報告した.組織学的には典型でありながら臨床的には潮紅落屑性一部びらん性局面という特異な像を呈しており,かつ両側性であったことが興味深い.同時に収集しえたmalignant trichilemmomaの本邦例との比較を行った.

脂腺母斑に脂腺腫瘍と基底細胞上皮腫を併発した症例

著者: 仲村洋一 ,   大槻典男 ,   石崎宏 ,   飛見昭子 ,   福代良一

ページ範囲:P.1055 - P.1059

 36歳の女子の右耳前部に脂腺母斑を基盤として,その上に脂腺腺腫,脂腺上皮腫および基底細胞上皮腫の発生をみた.電顕的には脂腺腺腫と脂腺上皮腫のbasaloid cellは基底細胞上皮腫の細胞と所見はほぼ同じである.明るい細胞内には大小の脂肪滴を認めた.全切除,植皮,3年後再発なし.

Disseminated Epidermolytic Acanthoma

著者: 清水宏 ,   木村俊次

ページ範囲:P.1061 - P.1065

 45歳男子躯幹に生じたdisseminated epidermolytic acanthoma (DEA)を報告した.
半米粒大〜米粒大の扁平隆起性疣贅様皮疹が散在性,一部集合して100個以上多発しており,臨床的には青年性扁平疣贅を思わせた.
組織学的にはいわゆる顆粒変性を認めた.
本例は同様部位にpigmentatio petaloides actinicaの合併をみた.
DEA皮疹についてウィルス学的検索を行なうも,ヒト乳頭腫ウィルスは見出しえなかった.従来の報告例を集計し,DEAの臨床的特徴をまとめた.また,その特徴からDEAを扁平疣贅に近いP型と脂漏性角化症に近いS型との2型に分類することを提唱した.
DEAの疾患独立性について若干の考察を加えた.

Oral Florid Papillomatosisの1例

著者: 太居英夫 ,   石井啓正 ,   久岡千里 ,   白井利彦

ページ範囲:P.1067 - P.1073

 52歳,主婦.臨床像,病理組織像ともに典型的なOral Florid Papillomatosisの1例を報告した.歯周囲炎による歯牙の弛緩動揺,脱落を認めた.ブレオマイシン総量150mgを筋注し,大方の粘膜疹は消褪したが,口蓋に一部を残し,電灼,液体窒素凍結療法にもかかわらず再発した.電顕的観察所見は諸家の報告とおおむね一致しているが,粘膜上皮上層のKeratinocyteにIntracytoplasmic desmosomeを認めた.Intracytoplas—mic desmosomeが多数出現する場合は,有棘細胞癌,Bowen病など表皮の腫瘍性増殖に限られていることから,本症は腫瘍としては良性と考えらねるが.単なるhyperplasiaではなく異常角化を示す細胞を混じていると考えられる.

皮膚白血病(Myelomonocytic Leukemia)の1例

著者: 高橋肇 ,   根木信 ,   小川秀興

ページ範囲:P.1075 - P.1079

 46歳,男性.腰腹部の小結節を主訴として当科を受診し,皮疹の生検と同時に施行した血液検査から初めて白血病が疑われ,精査の結果myelomonocytic leukemiaと診断された1例を報告した.併せて本症における診断および治療の経過を知るうえでの血清および尿中リゾチーム値測定の意義について若干の文献的考察を加えた.

成人型T細胞性白血病—Adenosine Deaminase高活性を示した1例

著者: 小泉洋子 ,   飯塚一 ,   三浦祐晶 ,   藤本望 ,   森岡正信 ,   桜田恵右

ページ範囲:P.1081 - P.1086

 43歳女性の成人型T細胞性白血病の1例を報告した.網状紅斑,壊死性丘疹を伴い,病理組織学的に腫瘍細胞の真皮・表皮への浸潤があり,Pautrier微小膿瘍がみられた.皮疹を伴う成人型T細胞性白血病の位置づけについて考察を行った.腫瘍細胞がadenosine deaminase活性の上昇を示したことを述べ,T細胞性悪性腫瘍の一特徴的所見と考えた.

滑膜肉腫

著者: 丸尾充 ,   荒木久美子 ,   安野洋一 ,   上田恵一 ,   伴真二郎

ページ範囲:P.1087 - P.1092

要約 23歳,女性.左足関節部に発症した滑膜肉腫の1例を報告した.膝関節下にて切断術を行ったが,手術後約2ヵ月で肺転移をきたした.組織学的には紡綞形細胞が胞巣を形成し,それらの間に裂隙形成がみられた.電顕的にもmonophasic spindle cell typeの像を示した.本症は皮膚科領域で取り扱うことはごく稀であるが,皮下腫瘤として発症することが多く,治療いかんによっては予後不良であるので,関節周辺の皮下腫瘤に対しては常に本症を念頭におくべきであると考える.

頭部ならびに顔面に発症したRolled Hairの3例

著者: 相場節也 ,   佐藤昭彦 ,   三浦隆 ,   桜田俊郎

ページ範囲:P.1093 - P.1097

 10歳女児,24歳女子および15歳男子の頭部,顔面に発症したrolled hairの3例を報告した.女子例はいずれも頭部びまん性脱毛を有しており,その脱毛が治癒する過程において一過性にrolled hairの多発をみた.第1例は甲状腺機能低下症の患者で,甲状腺機能の改善とともに本症が消失した点などから,甲状腺機能低下が本症を惹起する誘因となったものと推測された.15歳男子例は顔面毛嚢性紅斑黒皮症における耳前部の毛孔性角化丘疹内の毛髪がrolled hairであった稀有例であった.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.1026 - P.1026

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title Word Abbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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