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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科35巻12号

1981年12月発行

雑誌目次

図譜・470

皮膚腺病

著者: 篠田英和 ,   大曲春次 ,   前田謙而

ページ範囲:P.1104 - P.1105

患者 75歳,女性
初診 昭和54年12月28日

原著

Urticarial Vasculitis—膠原病との関係について

著者: 田中俊宏 ,   樋口貴子 ,   山元真理子 ,   堀口裕治 ,   荻野篤彦

ページ範囲:P.1107 - P.1110

 組織学的に核崩壊を伴う好中球浸潤像を呈す蕁麻疹様紅斑が繰返し出没する2症例を経験したので報告する.
症例1(16歳,女性)蕁麻疹様皮疹が繰り返し出現し,関節痛・蝶形紅斑様皮疹・精神症状がみられた.補体の一過性の低下・血沈の軽度亢進がみられた.
症例2(16歳,女性)発熱の1週間後に蕁麻疹様皮疹が出現し,同時に多関節痛があった,CRP (4+),γ—グロブリン25%,血沈亢進,ASLO 640 Toddであった.
症例1はSLE,症例2はリウマチ熱との関係を思わせるが,各々の診断基準は満たさない.Urticarial vasculitisは,entityというより,膠原病ないし膠原病様の症候群を構成する1症状にすぎないと考えられる.

胸骨部骨関節炎を伴った急性汎発性膿庖性細菌疹

著者: 水谷仁 ,   清水正之 ,   浅野正文 ,   中田和光

ページ範囲:P.1111 - P.1115

 急性扁桃炎後に発症し,抗生物質と非ステロイド系消炎剤により軽快し,その後再発をみない52歳,女子の胸骨部骨関節炎を伴う急性汎発性膿疱性細菌疹例を経験した.本例は,急性汎発性膿疱性細菌疹と掌蹠膿疱症及びその周辺疾患群との間に,病因論的に病巣アレルギーという共通点がみられることのほか,随伴症状として骨関節症状といった共通点が見出されることを示した.

汎発性にみられた糖尿病性脂肪類壊死(Necrobiosis Lipoidica Diabeticorum)の1例

著者: 窪田泰夫 ,   堀嘉昭

ページ範囲:P.1117 - P.1124

 82歳,女性.約半年前より左肘部に自覚症のないわずかに扁平隆起した浸潤性紅色局面を生じ,漸次下腿伸側・躯幹にも同様皮疹が増数,拡大した.前腕,下腿伸側では融合し手拳大暗赤色浸潤性局面を形成,一部環状肉芽腫様外観を呈す.臨床検査成績では50gGTTで高度糖尿病型,Ⅱb型高脂血症,糖尿病性網膜症合併を認めるが,血小板凝集能に著変はなかった.組織学的には膠原線維の著明な変性とそれを取りまく組織球を混ずるリンパ球の浸潤を認め,類上皮細胞肉芽腫がみられる.巨細胞も散見される.また真皮血管壁は肥厚,内腔の閉塞性変化も著明で,変性部では弾力線維消失,ムチンおよび脂質の沈着を認める.糖尿病に対し食事療法を,また皮疹に対してはアスピリン0.3g 1〜2日おき間歇投与とジピリダモール150mg連日投与という抗血小板療法を行ない,投与後1ヵ月で著明な改善を認めた.

Diabetic Scleredemaの3例

著者: 大河内享子 ,   竹松英明 ,   五十嵐稔 ,   興野春樹 ,   宮川隆敏 ,   小笠原鉄郎

ページ範囲:P.1125 - P.1130

 48歳男(症例1),51歳男(症例2),15歳女(症例3)のいずれも糖尿病を有する患者に発生したscleredemaの3例を報告した.臨床的に症例2は片側性に耳介部に皮下腫瘤を形成した点,また症例3は若年性糖尿病患者で顔面を除き全身性に板状硬結を呈した点,特異であった.組織化学的に酸性ムコ多糖類の沈着が証明され,酵素消化試験でchondroitinase ABCでは消化されず,放線菌hyaluronidaseでほぼ完全に消化されたことから,沈着物質はヒアルロン酸が主体と考えられた.

皮膚化膿巣由来の黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型と抗生物質感受性について

著者: 出来尾哲 ,   鬼村賢太郎

ページ範囲:P.1131 - P.1134

 皮膚化膿巣由来の黄色ブドウ球菌471株をコアグラーゼ型別法によって分類し,ディスク法によってそれらの抗生物質感受性を決定した.対象とした菌株のすべてがⅠ〜VⅢ型のいずれかに型別され,型に特異的な抗生物質感受性がみられた.

潰瘍性大腸炎に合併したSalazopyrinによる激症薬疹の2症例

著者: 松尾閑乃 ,   中山秀夫 ,   今井民

ページ範囲:P.1135 - P.1143

 Sulfasalazine (商品名サラゾピリン)内服中の潰瘍性大腸炎患者にみられた激症の皮膚炎型中毒疹2症例(34歳女性及び18歳男性)を報告した.両者はいずれも一見,伝染性単核症を思わせる臨床像を呈し,末梢血中の異型リンパ球の著明な増加が認められた.パッチテストではsulfasalazine (以下SSAと略す)陰性,paraphenylene diamine (PPDA)陽性,SSA内服テストでは1g (常用量の1/3)で24時間陽性(1症例のみ施行),スルファメトキサゾール内服テスト (1g/dose)では両者とも陽性反応を示した.既往報告例とアセチル化率の検討を含めてSSAアレルギーによる発疹の発生機序に若干の検討を加えた.

Herpes Gestationis

著者: 倉田三保子 ,   西山和光 ,   原紀正

ページ範囲:P.1145 - P.1149

要約 24歳初産婦,妊娠8ヵ月に発症した1例を報告した.皮疹の性状はジューリング疱疹状皮膚炎に類似し激しい瘙痒を伴っていたが,粘膜疹はみられずヨードカリ貼布試験は陰性であった.組織像は麦皮下の水疱形成と水疱内および真皮上層の細胞浸潤であった.螢光抗体直接法でC3とIgAの基底膜部沈着がみられたが,間接法でHG因子は認められなかった.

含歯性嚢胞による外歯瘻の1例

著者: 赤尾明俊 ,   内山光明 ,   鈴木和彦

ページ範囲:P.1151 - P.1154

 6歳,男子.左眼窩下部鼻側にそった9×6×3mmの膿瘍を主訴として受診.来院前,歯科を含む数科で約8ヵ月治療を受けたが,完治を見なかった.断層X-Pおよびパントモグラフィーなどで,左上顎犬歯を埋伏歯とする濾胞性歯嚢胞による外歯瘻と診断された.原因および瘻孔発生部位が,統計上からも比較的稀であったため,初診時の診断を誤らせたものである.

マダニによる野兎病

著者: 岡部俊一 ,   豊嶋俊光 ,   菅谷彪

ページ範囲:P.1155 - P.1160

要約 74歳,女.初診:昭和55年6月7日.住所:横手市城南町.住居近くの山の中で右耳朶をマダニ刺咬(ヤマトマダニのメスの成虫と推定).刺咬後7日目位より熱発と全身倦怠感,右頸部リンパ節腫脹.両下腿に結節性紅斑様野兎病疹.セファロスポリン系抗生物質に反応しないので来院.初診時恙虫病と野兎病を疑って諸検査.野兎病血清即時凝集反応陽性より野兎病と診断.ゲンタマイシンの筋注とテトラサイクリンHCIの内服にすみやかに反応.野兎病赤血球凝集反応,野兎病皮内テストも陽性.右頸部の癤様硬結の膿より野兎病菌を分離.マダニの刺咬後野兎病に罹患したのは,大原の2例についで本邦3例目.マダニが野兎病菌の保菌動物であることが知られているので,今後マダニによる野兎病も念頭において診療にあたる必要がある.

クロモミコーシスの病理組織像—とくにElimination現象について

著者: 岡吉郎 ,   佐藤良夫 ,   松尾茂 ,   奥田長三郎

ページ範囲:P.1161 - P.1166

 クロモミコーシスの自験6例について組織学的に検討した.真菌要素はすべてsclerotic cellで,真皮上中層に限局して存在する.真菌に対する組織反応として,まず多核白血球が数個これに接し,ついで微小膿瘍が形成されるか,あるいは多核白血球とともに巨細胞に貪食され.さらに肉芽腫形成がみられる.これらの周囲にはリンパ球浸潤が顕著で,その外側に形質細胞を主とする浸潤をみる.表皮の反応は偽癌性増殖を示し,不整な表皮突起が微小膿瘍を包むように伸長し,これを表皮内にとりこみ,ついで角層を経て微小膿瘍を排除する.このようなelimination現象は臨床的に定型的な疣状皮疹部において必ず認められた.すなわち真菌を含む微小膿瘍が経表皮性に排除される機構が本症の特徴的な疣状結痂性皮疹を形成するものであると考えた.1例において巨大な腫瘤の形成が認められたが,これは外傷と二次感染によって表皮の反応が過剰に出現したものと考えた.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.1160 - P.1160

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

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臨床皮膚科 第35巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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