icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科35巻12号

1981年12月発行

原著

汎発性にみられた糖尿病性脂肪類壊死(Necrobiosis Lipoidica Diabeticorum)の1例

著者: 窪田泰夫1 堀嘉昭1

所属機関: 1東京大学医学部付属病院分院皮膚科

ページ範囲:P.1117 - P.1124

文献概要

 82歳,女性.約半年前より左肘部に自覚症のないわずかに扁平隆起した浸潤性紅色局面を生じ,漸次下腿伸側・躯幹にも同様皮疹が増数,拡大した.前腕,下腿伸側では融合し手拳大暗赤色浸潤性局面を形成,一部環状肉芽腫様外観を呈す.臨床検査成績では50gGTTで高度糖尿病型,Ⅱb型高脂血症,糖尿病性網膜症合併を認めるが,血小板凝集能に著変はなかった.組織学的には膠原線維の著明な変性とそれを取りまく組織球を混ずるリンパ球の浸潤を認め,類上皮細胞肉芽腫がみられる.巨細胞も散見される.また真皮血管壁は肥厚,内腔の閉塞性変化も著明で,変性部では弾力線維消失,ムチンおよび脂質の沈着を認める.糖尿病に対し食事療法を,また皮疹に対してはアスピリン0.3g 1〜2日おき間歇投与とジピリダモール150mg連日投与という抗血小板療法を行ない,投与後1ヵ月で著明な改善を認めた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら