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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科35巻2号

1981年02月発行

雑誌目次

図譜・460

境界型癩

著者: 細井洋子 ,   浅井芳江 ,   濱田稔夫 ,   寺西晴満

ページ範囲:P.110 - P.111

 症例54歳,男.北海道出身.戦争中,鹿児島に在住したことがある.現在,大阪市に在住.
初診 昭和54年2月28日

原著

Eosinophilic Bodyの螢光抗体法的研究

著者: 段野貴一郎 ,   堀尾武 ,   今村貞夫 ,   太藤重夫

ページ範囲:P.113 - P.118

 表皮内eosinophilic body (EB)における免疫グロブリン,補体,フィブリノーゲンの沈着頻度を螢光抗体直接法にて調べた.扁平苔癬(この場合,表皮下ヒアリン体も含めて),急性痘瘡状苔癬状粃糠疹,日焼け皮膚,多型紅斑などのEBには血清成分の沈着がよくみられたが,ボーエン病や有棘細胞癌などのEB (個別角化)にはそれらの沈着は全く認められなかった.すなわち,良性疾患のEBと悪性疾患のEBは螢光抗体法的に異なる態度を示した.実験日焼け細胞における成績を加え,EBにおける血清成分沈着の意義について考察した.

4代にわたって優性遺伝し,特異な組織像を示した線状(指腹)—斑状(足蹠)角化腫

著者: 手塚正 ,   山崎紘之 ,   平井玲子

ページ範囲:P.119 - P.124

 11歳女児の指腹に線状,足蹠に斑状の角化腫について述べた.本症は4代にわたって優性遺伝し,組織学的に顆粒層の形成を欠いている.電顕的にmarginal band, lamellagranulesの生成,核,リボゾーム等細胞内小器管の消失をみとめた.本症角層よりTris—DOCで抽出した270,000×g上清画分中には正常に比較して著しく多くの蛋白が欠損していた.

Psychogenic Purpuraの1例

著者: 川岸郁朗 ,   根本治 ,   青柳俊 ,   斉藤嘉郎

ページ範囲:P.125 - P.129

1)右前腕の疼痛と腫脹,斑状皮下出血を呈した22歳,未婚女性の症例を報告した.
2)これまで記載されたautoerythrocyte sensitization, psychogenic purpura,およびfactitious purpuraについて文献的考察を加え,自験例をその背景にみられる精神的要素を重視してpsychogenic purpuraと診断した.

両側顔面神経麻痺を伴ったサルコイドーシスの1例

著者: 橋本隆 ,   植原八重子 ,   倉持正雄 ,   原田敬之 ,   森皎祐

ページ範囲:P.131 - P.134

 54歳,女子.約2ヵ月前より両側下腿に網状ないし局面状を呈し浸潤を有する紅斑として発症し,両側顔面神経麻痺を合併したサルコイドーシスの1例を報告した.組織学的に真皮上層から皮下組織に典型的なサルコイド結節を認め結節型皮膚サルコイドーシスと診断した.両側肺門リンパ節腫張(BHL)を認め,Kveim反応陽性.ステロイド内服で皮疹は速やかに消退し,遅れてBHL,神経麻痺も軽快した.

成人期に発症したUrticaria Pigmentosaの1例—特に電顕所見を中心として

著者: 柳沢一明 ,   堀真 ,   阿南貞雄 ,   穐山富雄

ページ範囲:P.135 - P.141

 Mastocytosisには,汎発型と単発型があり,汎発型で全身に蕁麻疹を繰り返し,次第に色素斑を呈してくるものを一般にurticaria pigmentosaと称している.これらmastocytosisは幼少時期に発病し,長ずるに従って次第に軽快してくるものが多いが,成人期に発症するものも時にみられる.今回著者らは,成人期に発症したと思われるurticariapigmentosaの1例についてDarier's sign前後の電顕的検索を行ったので,若干の文献的考察を混じえて報告する.

産褥性腋窩乳腺症

著者: 高橋喜嗣 ,   大熊守也 ,   手塚正

ページ範囲:P.143 - P.148

 産褥期婦人の腋窩部に生じた腫瘤について,その臨床像,病理組織学的所見,統計的観察等について報告する.病理組織学的検索の結果,その要因は,最近の一部の成書に記載されているような汗腺の腫脹によるものではなく,乳汁のうっ滞像を示した乳腺組織の腫大によるもので,副乳の1種と考えられる.産褥期婦人50例について調査した結果,本腫瘤が12例もみられ,その頻度は24%とかなり高いものであった.そして本腫瘤は分娩後数日目から急に腫大し始め,分娩後6, 7日目を頂点として,何ら治療を施すことなく,また授乳とは無関係に,分娩後数週目には自然消退した.

皮膚筋炎の1例—直腸癌摘除により著明な改善をみた例

著者: 塚越葉子 ,   平井昭男 ,   生冨公明 ,   加茂紘一郎

ページ範囲:P.149 - P.154

 皮膚筋炎は,内臓悪性腫瘍を合併することの多い自己免疫疾患とされ,両者の関連性については既に詳細に検討されている.従来皮膚筋炎に合併し易い悪性腫瘍としては,胃癌・肺癌・乳癌等が知られているものの,悪性腫瘍治療後の皮膚筋炎寛解度については,各種の論議のあるところである.自験例では,合併癌としては稀とされる直腸癌を併発し,外科的な治療により皮膚筋炎に伴う各種臨床症状あるいは臨床検査成績に著明な改善をみた.ちなみに当教室では,過去15年間に7例の皮膚筋炎を経験しているが,悪性腫瘍を検索し得た例は今回の1例のみである.

食道癌手術後に発症した皮膚筋炎の1例—北大皮膚科における皮膚筋炎・悪性腫瘍合併例を含めて

著者: 野川美智留 ,   飯塚一 ,   三浦祐晶

ページ範囲:P.155 - P.159

 53歳男性の皮膚筋炎の1例を報告した.食道癌の手術6ヵ月後に,日光照射部に浮腫性紅斑を生じ,光線過敏性も証明された.その1ヵ月後には筋炎症状も出現し,検査所見とあわせ典型例と思われた.
 本例を含めて最近10年間に北大皮膚科で観察した皮膚筋炎24例を集計し,特に悪性腫瘍との合併について文献的に考察を加えた.

Malignant Histiocytosisの1例

著者: 藤田敬一 ,   池沢善郎 ,   中嶋弘 ,   片倉仁志

ページ範囲:P.163 - P.169

 73歳,女性に発症した悪性組織球症(malignant histiocytosis)の1例を報告した.本例は,皮膚病変を初発症状としており,皮膚原発の悪性組織球症の可能性もあり得る.悪性組織球症の皮膚病変は約10%に認められ,本症の初期症状であることが多く,注目されている.しかも皮膚病変の病理組織学的所見は診断学的価値がかなり高いことも知られている.治療法の改善に伴い,かなり長期の生存が可能となりつつある現在.本症の早期発見,早期治療が望まれる次第であるが,かかる意味において皮膚科医の果たす役割の重大さを痛感し,若干ながら文献的考察を試みた.

Non-venereal Sclerosing Lymphangitis of the Penis—罹患脈管ならびにモンドル病との比較

著者: 大熊守也 ,   梅田定

ページ範囲:P.171 - P.174

 38歳男の包皮のnon-venereal sclerosing lymphangitis of the penisの典型例を報告するとともに,包皮の正常のリンパ管,血管,モンドル病,静脈瘤の組織学的所見の比較,今までの報告例より18例をえらび所見の総括をした結果,本疾患は,限局性非腫瘍性のリンパ管病変,特にリンパ管拡張とそれに続発する壁の肥厚が病変の主体と推定された.

下肢に生じたリンパ管型皮膚スポロトリコーシス

著者: 清水宏 ,   生冨公明 ,   西川武二

ページ範囲:P.177 - P.181

 51歳男子の下肢に生じたリンパ管型皮膚スポロトリコーシスの1例を報告し,本症の下肢発症が比較的少ない原因について考察した.すなわち,諸家の報告によれば下肢発症が10%以下と少ないのは,本症の好発時期である冬から初春にかけては下肢が戸外で露出され難く,従って菌侵入の機会が少ないことによるものと考えられた.
 原因菌のSporothrix schenckiiの温度依存性に関連し,病変部からの菌分離に対する培養温度の影響を検討した結果,自験例ではサブロー・ブドウ糖寒天斜面培地上,37℃で菌は分離されず,35℃では菌の発育は緩徐で,色素産生能に乏しい集落がえられた.一方,27℃での集落の出現・発育はすみやかで,色素産生も旺盛であった.

疥癬の集団発生における治療と駆除

著者: 清佳浩 ,   樋口道生 ,   滝内石夫

ページ範囲:P.183 - P.186

 某学生寮において,計71名の疥癬の集団発生例を経験した.直接の殺ダニ剤として,6%安息香酸ベンジル—エタノールの塗布を患者71名及び患者と同室であった学生のうち11名の計82名に施行し,治療開始より3ヵ月後には全例の完治を得た.この中で,再発例は1名,副作用は,治療を中止せざるを得なかった1名と,元来生じていた湿疹様病巣の増悪を来たした5名の計6名に認められた.寮内の駆除には,フェニトロチオン,ダイヤジノン,シクロルボス,ペルメトリンを併用した.また,ムトウハップを寮生全員の入浴時に浴槽中に混入した.その後,患者71名の部屋以外からは,疥癬患者の発生を認めなかった.また,疥癬虫の生態並びに発育史についても記載した.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.124 - P.124

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List or Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

薬剤

Amcinonide軟膏の経皮吸収による副腎皮質機能抑制の検討—0.12% betamethasone 17-valerate軟膏との比較を中心に

著者: 武田克之 ,   榎本充邦 ,   野本正志

ページ範囲:P.187 - P.194

 皮膚科領域において,Sulzbergerら1)がはじめてhydrocortisone 21-acetateを湿疹・皮膚炎群に外用し,優れた治効をおさめたと報告してから,すでに4半世紀を経た.その間数多くの追試をへてその優れた治療効果が確認されるにつれ,より強力な薬理活性をもつコルチコステロイド外用剤(以下コ剤と略記)が開発,市販されて2),今日では皮膚疾患治療に不可欠の薬剤となっている.しかし強力なコ剤が短期間用いられた場合にも,弱いコ剤が長期間使用された場合にも,経皮吸収された外因性のコルチコステロイドの血中濃度が一定の値を持続するようになると,間脳—下垂体—副腎系へのfeedback機構が働いて内因性コルチゾールの分泌は抑制され,コルチコステロイド内用療法に比較して軽いとはいえコ剤の経皮吸収による全身への影響は否定しえず,乱用をいましめる声も少なくない3,4)
 著者らは日本レダリー社から0.1% amcinonide軟膏を提供され,その密封包帯法occlusive dressing technique(以下ODTと略記)による外用がヒト副腎皮質機能におよぼす影響を検討したので報告する.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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