icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科35巻3号

1981年03月発行

雑誌目次

図譜・461

皮角を呈したBowen病

著者: 中林康青 ,   長谷川正次 ,   新村眞人 ,   堀嘉昭

ページ範囲:P.202 - P.203

症例77歳,女
初診昭和53年11月28日

原著

Angiolymphoid Hyperplasia with Eosinophiliaの1例

著者: 竹原和彦 ,   中林康青 ,   大原国章 ,   井上由紀子 ,   関利仁 ,   滝沢清宏 ,   原田昭太郎 ,   金子義保

ページ範囲:P.205 - P.211

 30歳,男性.臨床的,組織学的に左耳前部には木村氏病,左耳介および耳後部にはPseudopyogenic granulomaに一致する皮疹をもつ.血中好酸球およびIgE上昇.螢光抗体法組織所見では表皮角層直下とリンパ濾胞様構造の部分にIgEの沈着をみた.また文献的に木村氏病およびPseudopyogenic granulomaの本邦報告例28例を比較検討し,両者の異同,関連について考えを述べた.

組織学的にLeukocytoclastic Vasculitisの像を呈した男子SLEの1例

著者: 島田真路 ,   北島拓弥 ,   今野保敏 ,   西脇宗一

ページ範囲:P.213 - P.219

 21歳,男子SLEの1例を報告した.顔面,躯幹の浸潤性紅斑ならびに手足の多型滲出性紅斑様ないし凍瘡様紅斑に核破壊を伴うleukocytoclastic vasculitisを認め,血管壁には免疫グロブリン(IgMを中心とする),補体の沈着を認めた.顔面,躯幹の紅斑はステロイド治療抵抗性であった.肩の紅斑にはムチンの沈着ならびに石灰沈着を認めた.SLEとleukocytoclastic vasculitisならびにSLEとムチン沈着,石灰沈着について種々考察した.

ペンタゾシン注射による特異な皮疹—注射部位の硬化,壊疽,潰瘍形成

著者: 山田瑞穂

ページ範囲:P.221 - P.224

 44歳男,医療機関事務職員,両肩〜上腕に多発する大小,形状種々の潰瘍,瘢痕およびその周囲の皮膚の硬化,色素沈着.その訴えが曖昧で,理解に苦しむ皮疹であったが,ペンタゾシンの注射を強要して続けていたことが判明した.ペンタゾシンは強力な鎮痛作用を有し,非麻薬扱いなので賞用されているが,これに耽溺し,常用しているものがある.外国文献では,すでにペンタゾシン注射濫用によるこのような皮膚病変発現の報告があるが,本邦ではまだ見られない,しかし,おそらく存在はしていると思われる.

ステロイドの長期外用が誘因と思われる小児膿疱性乾癬

著者: 近藤厚樹 ,   瀬口俊一郎 ,   重見文雄

ページ範囲:P.225 - P.228

 長期ステロイドの外用が誘因となったと思われる膿疱性乾癬の小児例を報告した.患者の1歳11ヵ月の男児で,生後5ヵ月頃頸部,大腿部に落屑性紅斑を生じ,再燃をくりかえしたが発症前約1年6ヵ月にわたりステロイドを外用していた.入院8ヵ月の間に5度熱発し膿疱が汎発化した.入院当初はやむなくステロイド剤を使用したが,4,5度目の再燃時にはステロイド剤に頼らず,解熱剤,抗生物質で治療し,皮疹は次第に改善し再燃をみていない.保存療法としてPUVA療法の併用も捨て難いと考えた.

Meleda型掌蹠角化症の3例

著者: 金本雄介 ,   池永実 ,   石橋康正 ,   水平敏知

ページ範囲:P.231 - P.238

 手掌・足底部に落屑性紅斑性角化局面が生後数ヵ月頃から,4歳頃までに出現し漸次肘頭部・膝蓋部に拡大する3例の角化症を経験した.いずれも臨床的にはmal deMeleda型皮疹であるが,遺伝的には不明で劣性遺伝や優性遺伝の可能性の低い炎症性角化症に属するものと思われる.また組織学的には各症例とも共通の所見が認められ,特に電顕的にはいわゆるkeratohyalin droplet patternやtonofibrilの変性が観察された.

臍子宮内膜症の1例

著者: 田村春美 ,   上出良一 ,   三原一郎 ,   岡田孝子 ,   小野昌子 ,   山岸玲子 ,   阪口燿子

ページ範囲:P.239 - P.242

 41歳,女子の臍部に発生した子宮内膜症の1例を報告した.初診の約半年前から臍部に月経に一致する疼痛を覚え,2ヵ月後に暗赤色小腫瘤に気づき,大きさ徐々に増大する.疼痛は月経2〜3日目より生じ,約10日間持続する.子宮内膜症を疑い小腫瘤を切除した.組織学的に子宮内膜症の特徴ある腺腔構造と間質が認められた.

Lymphangiectasiaの1例

著者: 大熊守也

ページ範囲:P.243 - P.244

 65歳,女性.11年前子宮癌根治手術,放射線療法.1年前より外陰部恥丘,肛門周囲に小丘疹,小水疱が多発,組織学的に毛細リンパ管の拡張.小水疱を摘出,2年後の現在残っていた皮疹も消失した.この疾患は従来acquired lymphangiomaと呼ばれてきたものであるが,リンパ管を中枢で圧迫すると推定される原因があり,真皮の変性,自然消退などの理山から本態はリンパ管拡張と思われ,このように呼ぶことを提唱する.

Trichofolliculoma

著者: 出来尾哲 ,   前浜芳子

ページ範囲:P.245 - P.248

 17歳,男子の左頬部に生じたtrichofolliculomaの1例を報告した.本症例およびこれまでの本症の報告例の特徴から,本症は胎生期におけるpilosebaceous complexの原基の遺残があり,これにandrogenが作用しておこるものであろうと考えられた.

雪状炭酸圧抵療法を受けた太田母斑上に生じた基底細胞上皮腫

著者: 山路和彦 ,   吉江治彦

ページ範囲:P.249 - P.252

 約8年間雪状炭酸圧抵療法を受けた太田母斑上に,10年後,基底細胞上皮腫が発生した22歳男子例を報告した.雪状炭酸圧抵療法部位に生じた基底細胞上皮腫は,本邦では現在までに5例報告されている.これらの報告例はいずれもより若年で基底細胞上皮腫が発生しており,結節型腫瘍となることが特徴である.

表皮様嚢腫より発生したと考えられる有棘細胞癌の1例

著者: 石川治 ,   服部瑛 ,   石川英一

ページ範囲:P.253 - P.259

 76歳,男.30歳頃,右側臀部および同側肩甲部に,時期を同じくして腫瘤各1個出現.徐々に増大した.肩甲部腫瘤は,当科初診後,組織学的に表皮様嚢腫と確定した.他方,臀部腫瘤では,その間時々粥状物質の排出を見るとともに,74歳頃より一部潰瘍化した.初診時,皮膚癌の臨床像を呈し,組織学的に高分化性扁平上皮癌で,角質嚢腫様構造を示した.角化形式は,表皮のそれに類似し,電顕学的にも,腫瘍細胞はケラチノソームを有し,表皮ケラチノサイト由来を窺わせた.さらにまた,右股リンパ節に類似の角質嚢腫構造をもった転移細胞巣を認めた.

陰部Paget病の手術治療

著者: 大原国章 ,   関利仁 ,   井上由紀子 ,   佐久間将夫

ページ範囲:P.261 - P.266

 自験11例(男性9例,女性2例)の陰部Paget病の手術方法とその治療成績について述べた.広範囲切除を手術原則とし,切除範囲は病巣辺縁から3〜5cm,切除の深さは筋膜上とした.男性例における陰茎,陰のうの皮膚欠損に対しては中間層植皮による陰茎形成,陰のう形成を行った.女性例では一般に尿道粘膜からの再発が問題とされているので,自験2例では根治手術の試みとして,radical vulvectomy,尿道切断と膀胱瘻の造設を行った.病巣切除,鼠径部リンパ節廓清に伴って大腿動静脈が露出する場合には縫工筋による筋弁移植で血管を被覆した.

いわゆる皮膚混合腫瘍—2例の光顕的・電顕的観察

著者: 山崎雄一郎 ,   木村俊次

ページ範囲:P.267 - P.273

 いわゆる皮膚混合腫瘍の2例を光顕的および電顕的に観察した.第1例は36歳男子の鼻背部の小結節,第2例は42歳男子の下顎部の小結節,組織像はいずれも2層の上皮細胞に囲まれた大小の管腔様構造の増生を主とし,間質では均質化,硝子化および粘液腫様変化がみられた.電顕的には2例とも大小のdense bodyを有する細胞が管腔を囲み,多数の微絨毛の突出がみられる.間質側の基底細胞様の細胞は,基底板の肥厚あるいは欠損を示し,細胞内にはトノフィラメントが発達している.筋上皮細胞は認められなかった.腫瘍細胞の微細構造から第1例はアポクリン汗管由来,第2例はエクリン汗管由来が示唆された.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.224 - P.224

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?