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原著
文献概要
76歳,男.30歳頃,右側臀部および同側肩甲部に,時期を同じくして腫瘤各1個出現.徐々に増大した.肩甲部腫瘤は,当科初診後,組織学的に表皮様嚢腫と確定した.他方,臀部腫瘤では,その間時々粥状物質の排出を見るとともに,74歳頃より一部潰瘍化した.初診時,皮膚癌の臨床像を呈し,組織学的に高分化性扁平上皮癌で,角質嚢腫様構造を示した.角化形式は,表皮のそれに類似し,電顕学的にも,腫瘍細胞はケラチノソームを有し,表皮ケラチノサイト由来を窺わせた.さらにまた,右股リンパ節に類似の角質嚢腫構造をもった転移細胞巣を認めた.
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