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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科35巻4号

1981年04月発行

雑誌目次

図譜・462

Syringocystadenoma Papilliferumの2例

著者: 村田英俊 ,   山本和子 ,   水元俊裕 ,   大河原章

ページ範囲:P.286 - P.287

〔症例1〕
患者45歳,女性
初診昭和52年10月3日

原著

顕著な部分的自然消褪を伴ったSuperficial Spreading Melanomaの1例

著者: 中村保夫 ,   清水正之 ,   浜口次生

ページ範囲:P.289 - P.295

 46歳,男子,腰部に発生し,明瞭な脱色素部を伴ったsuperficial spreadingmelanomaの1例を報告した.脱色素部では,光顕的および電顕的に自然消褪の所見が確認された.この自然消褪部の電顕所見で,腫瘍細胞とリンパ球様単核細胞との接着,および腫瘍細胞の種々の段階の形態的変化(Apoptosis)が観察され,自然消褪の成因に関して,何らかの細胞性免疫機序の関与を疑わせた.

菌状息肉症の全身皮膚電子線照射療法

著者: 安立あゆみ ,   高井和子 ,   阿久津順 ,   林顕宗 ,   安江隆 ,   佐々田健四郎 ,   桜井邦輝

ページ範囲:P.297 - P.302

 菌状息肉症計5例(汎発型4例,限局型1例)に対し,全身皮膚電子線照射を行った.総線量3,000rads照射終了時には,全例とも皮疹は完全寛解導入に成功したと考えられた.副作用としては,一過性の白血球減少,脱毛,胃腸障害が主なものであった.本法は重篤な副作用がなく,寛解期間も比較的長いので,広範囲皮疹を有する菌状息肉症に対しては,今日のところ最も有効な治療法と考えられたが,3例で3〜5ヵ月後に再発がみられたようにかなり再発率が高く,本法単独では本症の完治は困難であり,寛解期間延長のため併用療法や維持療法の確立が必要であると思われ,免疫増強剤の併用もその1つではなかろうかと思われた.

皮膚軟骨腫の1例

著者: 宮本由美子 ,   池田重雄

ページ範囲:P.305 - P.309

 36歳男子の左足底踵部に生じた皮膚軟骨腫の1例を報告した,腫瘍は臨床上鶏眼を思わせたが,X線所見では腫瘍部に一致して軟部組織内に石灰沈着と思われる淡い陰影を認めた.近接する踵骨の骨皮質には侵蝕像ないし硬化などの所見は認められなかった.組織像では連続切片作製により骨組織を全く認めない幼若な軟骨組織から成っていた.一部に斑状の石灰化を伴っていた.

Acquired(Digital)Fibrokeratoma

著者: 青島敏行

ページ範囲:P.311 - P.313

 64歳,女子の右Ⅰ趾に生じたacquired digital fibrokeratomaの1例を報告した.自験例は臨床的,組織学的に典型例であった.本邦において,自験例を含めて24例が報告されているが,女子,趾の発生例は少ない.とくに,女子の趾に生じた例は,自験例が第1例目である.発生部位が外力の圧迫を受けやすい部位であること,また足底の鶏眼の発生と同時期に生じていることから,機械的圧迫が誘因として推測される.

Fibrous Papule of the Nose

著者: 大山勝郎 ,   長野博章 ,   園田礼子 ,   阿部重夫

ページ範囲:P.315 - P.319

 18歳女子の鼻部に生じた丘疹を切除,組織学的に血管・結合織の増生,真皮の担色細胞と組織球様細胞の出現,病巣中央部の表皮内に隣接する有棘細胞の4〜5倍にも達する大型淡明な細胞が数個集簇し,あるいは個々に存在する所見を認めた.この大型細胞の胞体はエオジンに淡染する細顆粒状物質で充満,一部核周囲が空胞化する細胞もある.基底層には多数の空胞細胞を認める.
以上の所見よりfibrous papule of the nose (Graham)と診断した.本症の本態はまだ不明であるが,母斑細胞母斑との関連が推測される.

Trichoblastic Fibroma

著者: 石倉多美子 ,   吉田正美

ページ範囲:P.321 - P.324

 64歳,男の左前腕に見られたtrichoblastic fibromaについて述べた.それはクルミ大の半球状に隆起した弾性硬の腫瘍である.組織学的には境界明瞭で,被膜に包まれた充実性の腫瘍で,上皮性細胞成分と結合織性成分がほぼ同量を占めている.上皮性成分は基底細胞様細胞よりなる,比較的単調な島状胞巣をなし,内部に小嚢腫形成はみられるが,明らかな毛包形成は認められなかった.以上よりsolitary trichoepitheliomaとは異なり,Headingtonの分類によるtrichoblastic fibromaに相当すると考えられた.

両側性第1鰓弓症候群の1例

著者: 福田金壽 ,   池田重雄 ,   福田修

ページ範囲:P.325 - P.330

 3歳7ヵ月,女児.初診昭和52年1月5日(生後13日目).両側巨口症,小顎症,両側副耳,耳珠の変形を主訴に当院未熟児センターから紹介された.両親は健康で,血族結婚ではない.家系内に同様の奇形のある者はない.父親34歳,母親27歳,初回妊娠で在胎40週,正常分娩で生下時体重2,820g.妊娠8ヵ月に軽度妊娠中毒症状が出たため,1週間降圧剤を内服した以外は睡眠剤,抗生剤の内服,放射線照射の既往はない.両側巨口症,小顎症,両側副耳,右耳珠の変形,Lt-low set earが見られたが,頬骨の発育不全,antimongoloid, colobomaは見られない.聴力も正常である.血液一般検査は正常.尿一般検査,尿中アミノ酸分析にも異常はない.ワッセルマン反応陰性で,染色体検査にも異常はない.
1歳6ヵ月に両側副耳切除,2歳7ヵ月に両側巨口症に対して口唇形成術を行った.

Down症候群に認められた汗管腫を中心とした皮膚病変について

著者: 寺門武文 ,   牧田敦宜 ,   宮里肇 ,   池田重雄

ページ範囲:P.331 - P.336

 Down症候群に播種状に汗管腫の認められた2例を経験したことから,埼玉医大関連施設内Down症候群患者56例について,汗管腫を中心として本症候群に併発する皮膚病変について臨床的観察を行い,さらに,外国報告例なども参考にしながら比較検討した.また,それと同時に過去4年間(1976年〜1979年)の一般外来患者15,113例にみとめられた汗管腫症例と対比させながら,その概要について報告する.

アンピシリンによるToxic Epidermal Necrolysisの1例

著者: 立田京子 ,   鈴木典子 ,   岩月啓氏 ,   田上八郎 ,   山田瑞穂

ページ範囲:P.339 - P.342

 アンピシリンによるtoxic epidermal necrolysisならびに肝障害,膵障害を伴った32歳の女性例を経験し,アンピシリンについて皮内反応,貼布試験,リンパ球幼若化試験を施行した結果を併せて報告した.
皮内反応では48時間後に23×22mmの浸潤性紅斑が,貼布試験では48時間後に浸潤性紅斑がみられた.また貼布試験陽性部の組織では,表皮細胞間浮腫の像に加えて,表皮細胞自体の変性も著明であった.リンパ球幼若化試験では対照に比べて有意の上昇がみられた.
以上の所見より,本症例においては発症に遅延型アレルギーが関与していると考えた.

扁平苔癬様薬疹—水疱・血疱形成をみた4例の報告

著者: 坂本ふみ子 ,   小川力 ,   猪股成美

ページ範囲:P.343 - P.348

 水疱・血疱形成のみられた扁平苔癬様薬疹の4例を報告した.いずれも紅斑上,または丘疹の辺縁に水疱・血疱がみられ,組織学的には,3例が表皮下水疱,1例が表皮内水疱であった.表皮内水疱は,表皮下水疱の再表皮化された像と考えられた.一連の苔癬様組織反応において,そのごく初期にすでに基底層にリンパ球の集中像が認められ,また表皮細胞の変化を伴う,鋸歯状化した表皮突起にもリンパ球の浸潤像がみられた.苔癬様組織反応において,リンパ球の重要性を示唆する所見と思われる.

晩発性皮膚ポルフィリン症

著者: 中尾仁子 ,   高橋邦明 ,   濱田稔夫 ,   針原重義

ページ範囲:P.349 - P.354

 53歳,男性に生じた晩発性皮膚ポルフィリン症(Porphyria cutanea tarda)の典型的な1例について報告した.30年間にわたる飲酒歴があり,初診の約半年前より露光部に小水疱を伴う無症候性の皮疹が出現してきた.尿は赤褐色を呈し,紫外線(UVA)による赤色螢光が認められた.尿中ポルフィリン体ではuroporphyrinの著増と,coproporphy—rinの増加を認めたが,aminolevulinic acidとporphobilinogenは正常であった.肝では,hemosiderosisと慢性肝炎像を認め,紫外線照射によってポルフィリン体による赤色螢光を認めた.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.348 - P.348

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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