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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科35巻5号

1981年05月発行

雑誌目次

図譜・463

アミロイド沈着を伴ったボーエン病

著者: 小林勝 ,   田中信 ,   長島正治

ページ範囲:P.362 - P.363

患者56歳,男
初診昭和51年3月16日

原著

陰嚢に生じたVerruciform Xanthomaの2例

著者: 進藤泰子 ,   御子柴甫 ,   望月正子 ,   吉江治彦 ,   本村俊次

ページ範囲:P.365 - P.369

 陰嚢に生じたverruciform xanthomaと思われる2例(29歳,男子.76歳,男子)のを報告した.表面細顆粒状,ピンク色で硬い単発性の腫瘤である.表皮および真皮の乳頭腫状増殖と,真皮乳頭層に一致して稠密な泡沫細胞の浸潤がある.これらはPAS,コロイド鉄,アルシアン青染色にて陰性〜弱陽性,ズダンⅢ染色で強陽性で黄色腫細胞であった.症例2は胃癌で死亡したが,それ以外は2例とも全身所見ならびに血清脂質等に異常は認められない.口腔内と女子陰門部の腫瘤について,verruciform xanthomaという表題ですでに報告があり,本例も陰嚢に生じたverruciform xanthomaと考えられた.Verruciform xanthomaの既報告例について若干の検討を加えた.

エリテマトーデスに見られた特異なムチン沈着の1例

著者: 木村恭一 ,   福代新治

ページ範囲:P.371 - P.377

 38歳男子,エリテマトーデス患者の躯幹,四肢に多数の丘疹,結節を生じ,これは組織学的にムチン沈着が主体であることを認めた.このような皮疹をエリテマトーデスの1つの特異な臨床型として認識すべきことを強調し,本症とムチン沈着の関係について若干の文献的考察を行った.

扁平苔癬様薬疹—臨床・病理組織学的検討

著者: 坂本ふみ子 ,   小川力 ,   佐藤良夫

ページ範囲:P.379 - P.382

 昭和43年から昭和54年までの12年間の,当科における扁平苔癬様薬疹25例と,扁平苔癬24例を臨床的,組織学的に比較検討した.扁平苔癬様薬疹は,基礎疾患をもつ高齢者に多く,かつ皮疹が広範囲に及ぶものが多かった.皮疹はより多彩であり,水疱・血疱形成例が7例みられた.また丘疹のほか,紅斑,色素沈着,皮疹の癒合性がかなりの頻度で認められた.それらの差異は,組織学的には,基底層の変性細胞や色素失調がより高率で,かつ著明な症例が多かったことと符合すると考えられた.

膿疱性乾癬—ビタミンA酸誘導体Ro 10-9359により好中球遊走能の改善と皮疹の軽快を認めた症例

著者: 片山一朗 ,   西岡清

ページ範囲:P.383 - P.386

 43歳,女.15年前,尋常性乾癬と診断され,ステロイド,メソトレキセートの内服,放射線照射を受けるも,一進一退をくり返していた.5年前から,発熱,関節痛とともに全身の膿疱形成を見,膿疱性乾癬と診断されるに至った.ビタミンA酸誘導体であるRo 10-9359内服にて皮疹はすみやかに消退し,併せて施行した好中球遊走能の検索で,当初高値を示したchemotactic indexは皮疹軽快時には正常に復した.

水族館飼育員にみられたM. marinum感染症

著者: 清水正之 ,   西井正美

ページ範囲:P.387 - P.391

 水族館動物飼育員の2例(31歳,男,27歳,女)の手指関節背面に軟かい紅色結節をみとめ,細菌培養によりM. marinumを証明した.飼育員の勤務場所の動物飼育水槽の汚物等の培養により,スナメリ飼育水槽水垢より本菌を検出した.全国水族館関係者のアンケート調査により(調査施設42ヵ所)11施設,23例が本症と考えられる病変を有していたことが明らかとなった.病変は手指16例,手背2例,肘部2例,不明3例で手指に多い.感染経路の明らかなものは魚類一般8例(内1例は濾過槽の飼育水から本菌を証明),熱帯魚淡水産3例,熱帯魚海水産1例で自験例はスナメリと共にコーラルフィシュの飼育に当たっていた.飼育水温が夏期27.5℃であり,本症の発生には外傷に加えて飼育水槽水,さらに水温が関連する可能性がある.

Mycobacterium avium-intracellulare complex感染症の1例—臨床的,組織学的にLupus Vulgarisの像を呈した症例

著者: 川岸郁朗

ページ範囲:P.393 - P.397

 53歳,女性で,臨床的,組織学的に尋常性狼瘡の像を呈し,Mycobacterium avi—um-intracellulare complexを分離同定した1例を報告した.本症例は本菌による皮膚感染と細菌学的に同定された本邦第2例目と考えられる.

色素血管母斑症の1例

著者: 北村弥 ,   祝美智子 ,   坂本邦樹

ページ範囲:P.399 - P.405

 3歳,女児.顔面,躯幹,四肢に単純性血管腫,躯幹,四肢に青色斑が混在し,牛眼,先天性緑内障を合併する色素血管母斑症の1例を報告した.本症の単純性血管腫の母斑血管を電顕的に観察し,いわゆるポートワイン母斑の母斑血管と微細構造上相違あることを見出した.

伝染性膿痂疹と癤の病巣から分離された黄色ブドウ球菌の抗生物質感受性について

著者: 出来尾哲 ,   高垣謙二 ,   山崎玲子 ,   浜中和子 ,   池田早苗

ページ範囲:P.407 - P.411

 1977年から1979年までに広島鉄道病院皮膚科を受診した伝染性膿痂疹と癤の患者,それぞれ219症例,109症例を対象として,病巣からの分離菌の菌種とその抗生物質感受性を決定した.いずれの疾患の病巣からの分離菌もその大部分がStaphylococcus aureusであった.伝染性膿痂疹由来のStaphylococcus aureusの抗生物質感受性の順序は,MDIPC, CEX, GM>CP≧TC≧CLDM>ABPC, AMPC>EMであり,癤由来のSta—phylococcus aureusの抗生物質感受性の順序は,MDIPC, CEX, GM>CP>TC, CLDM>ABPC, AMPC>EMであった.これらのうち,MDIPC, CEX, GM, EMの感受性は両者の間で大きい差はみられなかつたが,CP, TC, CLDMの感受性は,伝染性膿痂疹由来の菌の方が癤由来の菌よりかなり感受性が良好であった.

Solitary Mastocytosisの2例

著者: 田中敬子 ,   三原基之 ,   島雄周平 ,   木村良一 ,   伊藤忠雄

ページ範囲:P.413 - P.418

 2歳女児の胸部に見られた不整形の色素斑と5ヵ月の先天性股関節脱臼を合併した男児の下腿に見られた三角形の褐色斑は,ともに組織学的にUnna型のsolitary mas—tocytosisであった.後者の全血中のヒスタミンは54.6ng/mlと正常範囲内であった.電顕的には,後者の肥胖細胞の核でヘテロクロマチンの占める割合の大きいものが多数見られたが,皮疹が4ヵ月の経過観察中に自然消褪したのを考えあわせると興味ある所見であった.また,本邦累計56例について臨床的検討を行った.

晩発性皮膚ポルフィリン症の1例

著者: 高橋仁子 ,   松尾聿朗

ページ範囲:P.419 - P.425

 32歳,飲酒歴のある男性の晩発性皮膚ポルフィリン症につき報告するとともに,本症の発症要因と皮膚症状の発現機序に関して文献的考察を試みた.本症はuroporphyri—nogen decarboxylase, uroporphyrinogen Ⅲ cosynthetase活性低下による代謝障害と考えられ,遺伝の明らかな症例では常染色体優性遺伝形式で,uroporphyrinogen decarboxylase活性低下が認められる場合がある.光活性化された皮膚内に存するポルフィリン体が酸素と反応して一重項酸素を生じ,それが細胞の膜システムの脂質を過酸化することから続発する細胞障害が,皮膚症状の発現の主な経路と考えられている.

特異な臨床経過を示したノルウェー疥癬の1例

著者: 多田正憲 ,   岡田哲哉 ,   三木吉治

ページ範囲:P.427 - P.431

要約 37歳男性,精神薄弱で養護施設入園中.初診の約5ヵ月前より瘙痒性の赤色丘疹が出現し,ステロイド剤を使用するうちノルウェー疥癬を発症した.入院時,著明な角質増殖と表在性リンパ節腫脹,末梢血白血球増多,異型リンパ球の出現と共に細胞性免疫不全の状態を示したが,皮疹の軽快とともにこれらは正常化し,一過性の反応性変化と考えられた.

Eruptive Hidradenoma—とくにその疾患概念について

著者: 松本光博 ,   熊切正信 ,   三浦祐晶

ページ範囲:P.433 - P.440

 過去17年間に経験した,組織学的に汗管腫と確認された18例の症例を検討した.うち13例は皮疹が汎発しており,初発年齢の平均は20歳で,胸腹部に初発した.残る5例はいずれも眼瞼周囲に限局し,初発年齢は平均35歳であった.過去の文献報告例61例を調べると,いずれも汎発例で,初発年齢は平均17歳で,胸部に初発する例が最も多く,自験例の汎発例と同じ傾向を示した.以上のことから組織学的には区別がむずかしいが,臨床的に特徴のある胸腹部に多発する汎発例を汗管腫の一亜型として位置づけeruptive hidr—adenomaの名称で呼ぶ立場に賛成したい.

女児の右膝関節部に多発したKeratoacanthomaの1例

著者: 瀬口俊一郎 ,   田中雅祐 ,   重見文雄 ,   武田克之

ページ範囲:P.441 - P.443

 6歳女児の右膝関節外側に13個の小結節が集簇したmultiple keratoacanthomaの1例を経験した.自験例は本邦でのmultiple keratoacanthomaの最年少例と思われたので若干の文献的考察を加えて報告した.

Disseminated Epidermolytic Acanthoma

著者: 仲村洋一 ,   武原秀明

ページ範囲:P.445 - P.447

 51歳,男.約2年前より腹部に淡褐色小丘疹が発生し,徐々に増加.組織学的に著明な角質増殖と表皮の顆粒層から有棘層に顕著な空胞変性と顆粒変性があった.4カ月後,皮疹は更に増加し,両前腋窩部にも少数認められた.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.425 - P.425

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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