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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科35巻6号

1981年06月発行

雑誌目次

図譜・464

銀皮症

著者: 佐藤寿之 ,   石橋明 ,   藤田恵一

ページ範囲:P.454 - P.455

症例57歳,女性
初診昭和53年5月

原著

いわゆるAuto-immune Annular Erythema様の皮疹を伴ったSjogren's Syndrome

著者: 臼田俊和 ,   川出初子 ,   青山久 ,   井沢洋平 ,   安部陽一 ,   宮地清光 ,   鳥飼勝隆 ,   安江隆

ページ範囲:P.457 - P.462

 いわゆるauto-immune annular erythemaに似た皮疹を伴ったシェーグレン症候群の1例について報告し,シェーグレン症候群の皮疹としてのauto-immune annularerythemaの可能性につき,若干の考察を加えた.いわゆるauto-immune annular erythemaは,現在のところlupus erythematosusの亜型とする考えが主であるが,今後更にシェーグレン症候群や新しい症候群としての可能性を含めての,多面的な検討を要するものと考えられた.

MCTDの1例

著者: 秋元隆道 ,   青木敏之

ページ範囲:P.463 - P.467

 42歳,女性.16歳よりレイノー症状,関節痛,筋肉痛,手足の浮腫があり,時々発熱を繰り返す.3年前より手指尖に潰瘍ができ,爪甲下にも壊死巣がみられる.検査では高γ—グロブリン血症があり,speckle型抗核抗体が高値の陽性を示す.抗DNA抗体は陰性.補体は正常である.全経過を通じて腎所見はない.以上よりMCTDを疑い,ENAを調製し,ゲル内沈降反応によって抗ENA抗体検索を行った結果,抗RNP抗体単独陽性であったのでMCTDと診断した.

家族性高コレステロール血症homozygoteの1例

著者: 面高信平 ,   吉江治彦 ,   大久保正己

ページ範囲:P.469 - P.473

 10歳,男子の家族性高コレステロール血症homozygoteの1例を報告した.生下時より臀部に皮疹あり,7歳頃より上下肢の関節伸側とアキレス腱に黄色腫の発生を見た.両親はいとこ同士結婚.両親,2人の同胞,父方祖母を家族性高コレステロール血症heterozygoteと診断した.

食事療法に良く反応したヘテロIIa型高脂血症の1例

著者: 金本雄介 ,   池永実 ,   内藤周幸

ページ範囲:P.475 - P.478

 5歳女児.家族性高脂血症Ⅱa型ヘテロ接合体の1例を報告する.本症は一般には食事療法には反応しにくいといわれている.本症例の場合は食事療法により血清脂質は正常化し,また血清脂質の改善にともなって患者の有する黄色腫の縮小傾向が観察され,一部の皮疹の消失もみられたが食事療法中止後は再び血清脂質の上昇を認めた.

小児皮下サルコイドージスの1例

著者: 渡辺剛一 ,   折原俊夫 ,   石川英一

ページ範囲:P.479 - P.485

 12歳,男子.初診1ヵ月前頃より,咳嗽あり,徐々に増強し呼吸困難,チアノーゼ,発熱をみたため,当院小児科入院.同所で肺に顕著なサルコイドージスの病変をみるとともに,四肢の皮下結節に注目され,当科を受診し,組織診で,皮下サルコイドージスの存在が確定された.
小児皮膚サルコイドージスの本邦報告例は外国に比し例数が少ないが,自験例を含め著者の集め得た25例について考察すると,発病が4歳未満の例では苔癬様型が多く,骨関節病変,眼病変の合併が多い.それに対し発病が4歳以上の例では結節型が最も多く,また肺病変の合併例が多い.自験例は成人のサルコイドージスにも比較的まれな皮下型のサルコイドージスを見た点,および組織学的にリンパ球浸潤が比較的多く認められる点で注目される.

スイス抗原によるKveim反応部位にみられた特異な塊状物について

著者: 大槻典男 ,   田辺俊英 ,   福代良一

ページ範囲:P.487 - P.494

 スイス抗原を用いてKveimテストを施行した29例(内訳:サルコイドーシス21例,サルコイドーシスの疑2例,非サルコイドーシス5例,正常人1例)の全例において,抗原注入局所の真皮内に特異な塊状物が多少の差はあれ認められた.塊状物は,Kveim反応陽性例(11例)におけるよりも同反応陰性例または疑陽性例(18例)において,むしろより顕著であった.塊状物は組織化学的にアミロイドに類似した所見もあったが,それに一致しない所見もあった.すなわち,チオフラビンTによる黄色螢光・コンゴ赤染色・それによる緑色偏光・ダイロン(Dylon)染色等は全て陰性であった.塊状物は電顕的には絮状物または微細粒状物及び微細線維(50〜100A)から成っており,微細線維の配列はやや波状を呈し,剛直性を示さなかった.以上の結果から,塊状物はアミロイドではなく,いわゆるヒアリンに酷似の物質と考えられた.塊状物は,正常人における実験において抗原注入直後に既に局所に認められた事実から,スイス抗原そのものに含まれている物質と推定された.

特異な形態を呈した表皮下水疱症の1例—匍行性迂曲状類天疱瘡

著者: 土居敏明 ,   片山一朗 ,   晒千津子 ,   西岡清

ページ範囲:P.497 - P.500

 60歳,男性,ほぼ全身に,環状,蛇行状,木目様の紅斑上に粟粒大小水疱が多発.皮膚生検にて,表皮下水疱の形成,好酸球の浸潤を認めた.螢光抗体直接法にて,基底膜部に,IgG,IgA,C3の線状沈着を認めたが,間接法では,流血抗体終始陰性.なお,ヨードカリ貼布試験は陽性を示した.以上の所見から,Duhring疱疹状皮膚炎,水疱性類天疱瘡のいずれとも診断し難く,BP variantとして,いわば.葡行性迂曲状類天疱瘡と表現される症例と考えた.

Dowling-Meara型Epidermolysis Bullosa Hereditariaの1例

著者: 斎藤義雄 ,   上里博 ,   折原俊夫 ,   石川英一

ページ範囲:P.501 - P.506

 1ヵ月男児.本例は生後数日頃より手足,臀部,腹部などに水疱の発生を認め,初診後腋窩,陰股部などの間擦部に小水疱が環状に配列し,漸次遠心性に拡大する特異な臨床像を示した.組織学的には基底細胞の変性と,いわゆる表皮下水疱の像を認めた.しかし,電顕学的には表皮内水疱,基底細胞の変性,崩壊像を認め,他方半デスモゾームおよび基底板は良く保たれていた.本例は電顕学的に単純型先天性表皮水疱症の像に一致し,臨床的に先天性表皮水疱症のうちでもまれなDowling-Meara型表皮水疱症と思われる.

肺炎マイコプラスマを分離しえた足底汗疱様水疱症

著者: 秋田晴男 ,   石橋明 ,   藤田恵一 ,   宮原透 ,   宮川浩一 ,   吉沢信行 ,   設楽政次

ページ範囲:P.507 - P.513

 感冒様症状から足底に汗疱様水疱を生じ,投薬加療中に全身に麻疹〜猩紅熱様皮疹と黄疸を発現した成人男子例を報告した.足底水疱から肺炎マイコプラスマを分離培養しえた.
肺炎マイコプラスマの流行時には,胸部所見の有無にかかわらず,皮膚粘膜症状について充分な観察と免疫学的検索が必要であることを痛感した.その診断,治療には,なお検討すべき問題が多々あると思われる.

疱疹状膿痂疹の1例

著者: 猪原慎一

ページ範囲:P.515 - P.518

 40歳の女性で妊娠と全く無関係に発症した疱疹状膿痂疹の1例を報告した.自験例の全身症状,皮膚所見は既報告例と比較してほぼ典型的な像であり,ステロイドホルモン内服治療で完治した.約1年を経た現在に至るまで再発をみていない.
自験例の所見と文献にみられる記述とにより疱疹状膿痂疹と汎発性膿疱性乾癬との異同について若干の考察を加えた.

手足口病の臨床的観察—盛岡市における最近の流行より

著者: 小川婦美子 ,   昆宰市 ,   伊崎正勝 ,   小川英治

ページ範囲:P.519 - P.524

 盛岡地方において1969年〜’70年および1978年〜’79年の2回にわたり手足口病の流行をみ,その疫学的,臨床的観察を行った.起因ウイルスは,1969〜'70年はコクサッキーA 16(CA 16),’78年はエンテロウイルスタイプ71(E 71)で,’79年はふたたびCA 16であった.流行はCA 16による手足口病は夏季より翌春に至るまで継続してみられたが,E 71によるものは夏季に集中してみられた.
年齢はCA 16による手足口病は乳幼児に多発し,E 71によるものは年長児に多い傾向を示した.皮疹の発生部位は手足口に限局せず全身性にひろがる傾向がみられ,とくに臀部の皮疹は高率にみられ,年少児ほどこの傾向は著明であった.皮疹の性状はCA 16によるものに定型的水疱形成が多く,E 71による皮疹は水疱がやゝ小さく,丘疹が多くみられ,全身性にひろがる傾向がより著明にみとめられた.

扁平苔癬の女子外陰部発生例

著者: 早川和人 ,   杉浦丹 ,   木村俊次

ページ範囲:P.525 - P.528

要約 扁平苔癬の女子外陰部単独発生例を経験したので報告する.症例は67歳女子,外陰部の瘙痒性皮疹を主訴として来院,臨床的には硬化性萎縮性苔癬を思わせたが,病理組織にて扁平苔癬の定型像を示した.扁平苔癬の女子外陰部発生は従来稀れとされており,調べえた限りでは症例報告は皆無であった.扁平苔癬の比較的多数例の報告を過去の文献より検索し,女子外陰部発生が稀れであることを明らかにしたが,この統計上の結果には若干の問題点を含むと考えられた.女子外陰部に生じた扁平苔癬の臨床像に関しては,成書にも充分な記載がなく,今後症例を重ねる必要があると思われる.他に電顕にて光顕所見にほぼ符合する所見が観察され,螢光抗体直接法で表皮真皮境界部に帯状のフィブリノーゲンの沈着を認めた.

らい療養所における皮膚疾患について

著者: 石井則久 ,   佐々木哲雄 ,   中嶋弘 ,   永井隆吉

ページ範囲:P.529 - P.535

要約 国立駿河療養所において,225名の患者の皮膚疾患調査を行った.有病者は195名(86.7%)で,高齢者に多かった.疾患別では,表在性真菌症が多くみられ,趾の変位,変形,運動麻痺などが大きな要因と考えられた.角化症は関節部にみられ,物理的刺激,生物学的刺激などが慢性に加えられて生じたものと考えられた.湿疹はいずれも軽〜中等度症で,知覚麻痺,運動麻痺により掻破しないことが増悪傾向を抑制しているようであった.その他乾燥性皮膚も多くみられたが,悪性腫瘍はボーエン病の2名のみであった.これら皮膚疾患のほとんどは免疫不全とは無関係で,もしあったとしても二次的な関係で,皮膚疾患の多くは原病の神経,皮膚,眼などの障害に伴う因子が重要なように思われた.

Erythema Nodosum Leprosum

著者: 久野尚子 ,   石垣優 ,   藤井勝朗

ページ範囲:P.537 - P.541

29歳,男性.昭和54年夏,左上背部激痛に続き左上肢近位部諸筋の萎縮を来し,神経内科でneuralgic amyotrophyの疑いのもとにプレドニゾロン内服療法後,突然,Sweet症候群様のアタックをくり返した.
当初神経症状が急性運動障害を主徴としたこと,primaryなlepromatous leprosyの皮疹を認めなかったことなどより,診断が難しかったが,感染症を再検討する意味で行った皮疹部及びリンパ節の生検標木のZiehl-Neelsen染色にて癩菌を認め,erythema nodosumleprosumと診断した.

最近19年間に経験した汗管腫の統計的観察

著者: 甲原資秀 ,   北村啓次郎

ページ範囲:P.543 - P.547

 当教室において昭和35年から昭和54年の19年間に経験した汗管腫59例を集計し統計的観察及び組織学的観察を試みた.年齢・性分布において20歳代,女性に多い傾向にあり,組織学的には嚢腫と表内皮および真皮内汗管との連続性は認められなかったが,嚢腫相互の連絡は確認された.さらに大きさと組織の関係においては直径の増大に伴って結合織増殖が強くなっている傾向が認められたが,組織学的な検討にて汗管腫の起源を明らかにすることはできなかった.

編集室だより

雑誌名の省略について

ページ範囲:P.535 - P.535

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

印象記

第80回日本皮膚科学会に参加して

著者: 鈴木啓之 ,   山口全一 ,   馬場俊一

ページ範囲:P.548 - P.550

 第80回日本皮膚科学会総会ならびに学術大会は4月3日から5日までの3日間,名古屋市立大学の水野信行教授を会頭として名古屋市立公会堂で行われた.
 会場は市内の鶴舞公園内にあって,公会堂周囲は折から満開の桜にかこまれ,学会にはこの上ない素晴らしい環境であった.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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