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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科35巻6号

1981年06月発行

文献概要

原著

スイス抗原によるKveim反応部位にみられた特異な塊状物について

著者: 大槻典男12 田辺俊英1 福代良一1

所属機関: 1金沢大学医学部皮膚科教室 2舞鶴共済病院皮膚科

ページ範囲:P.487 - P.494

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 スイス抗原を用いてKveimテストを施行した29例(内訳:サルコイドーシス21例,サルコイドーシスの疑2例,非サルコイドーシス5例,正常人1例)の全例において,抗原注入局所の真皮内に特異な塊状物が多少の差はあれ認められた.塊状物は,Kveim反応陽性例(11例)におけるよりも同反応陰性例または疑陽性例(18例)において,むしろより顕著であった.塊状物は組織化学的にアミロイドに類似した所見もあったが,それに一致しない所見もあった.すなわち,チオフラビンTによる黄色螢光・コンゴ赤染色・それによる緑色偏光・ダイロン(Dylon)染色等は全て陰性であった.塊状物は電顕的には絮状物または微細粒状物及び微細線維(50〜100A)から成っており,微細線維の配列はやや波状を呈し,剛直性を示さなかった.以上の結果から,塊状物はアミロイドではなく,いわゆるヒアリンに酷似の物質と考えられた.塊状物は,正常人における実験において抗原注入直後に既に局所に認められた事実から,スイス抗原そのものに含まれている物質と推定された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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