臨床皮膚科35巻7号

1981年07月発行

原著

限局性白癬性肉芽腫の1例

著者： 窪田泰夫¹ 渡辺晋一¹ 滝沢清宏¹ 原田昭太郎¹

所属機関： ¹東京大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲：P.599 - P.606

　42歳，男性の両下腿に発生した限局性白癬性肉芽腫の1例を報告した．発症因子としては，強迫性格という特異な精神状態に基づくと思われる過度の掻破と他医にてうけたステロイドの長期内服・外用が大きく関与したと推測された．また菌学的検査によりT．rubrumとC．　albicansの2種を分離同定したが，前者が主体的役割を果たしていると考えた．合わせて1970年以後の白癬性肉芽腫の本邦報告例を蒐集し，その臨床的事項および統計的事項などにつき若干の文献的考察を加えた．