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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科35巻9号

1981年09月発行

原著

悪性黒色腫患者における尿中5-S-Cysteinyldopa排泄について—病勢を知る上のbiochemical marker

著者: 森嶋隆文12 花輪滋1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室 2駿河台日大病院皮膚科

ページ範囲:P.819 - P.823

文献概要

 Pheomelaninの中間代謝産物である5-S-Cysteinyldopa(5-SCD)の尿中大量排泄は悪性黒色腫の転移の際にみられ,黒色腫の病勢を知る上のbiochemical markerになりうることが指摘されている.Eumelanicである健常日本人の尿中5-SCDの平均値はpheomelanicであるスウェーデン人とほぼ同値であることを明らかにした.悪性黒色腫7例の測定結果から,尿中5-SCDは原発巣のみで,転移巣を欠く5症例では正常範囲内あるいは境界値内にとどまっており,所属リンパ節転移を有する例では原発巣と転移巣とを摘出すると,高値であった尿中5-SCDは正常範囲内に復し,病勢の進行とともに,再び高値となることを知った.以上の経験から,黒色腫患者の尿中5-SCDの測定の意義を考えると,1)転移の有無とその広がり,2)治療効果の判定,3)予後の判断等について有力な情報をもたらしてくれるものと期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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