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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科36巻1号

1982年01月発行

原著

皮膚癌を合併した疣贅状表皮発育異常症(Epidermodysplasia Verruciformis, L.-L.)の1例—皮膚悪性変化への病理発生機構

著者: 谷垣武彦1 前田求1 渡辺信一郎2 遠藤秀彦3 大鳥利文4 浜田陽4

所属機関: 1大阪大学医学部皮膚科教室 2大阪大学医療短期大学部 3兵庫医科大学皮膚科 4近畿大学医学部眼科

ページ範囲:P.61 - P.66

文献概要

 疣贅状表皮発育異常症(Epidermodysplasia verruciformis, L.-L.)の34歳男子の典型例の顔面に発生した腫瘍を病理組織学的に検討した.その結果,病理発生学的に3つの段階即ち①表皮内初期変化,②ボーエン病様変化,③有棘細胞癌の移行を確認しえた.これはTodaroらのS. V. 40ウイルスによる腫瘍発生の実験結果と類似している.即ちはじめのtransformation cellは表皮細胞のDNA合成が見られる表皮,下層細胞に一致して発生し,表皮下層でのウイルス感染細胞が直ちに1〜3回細胞分裂増殖することにより,一部はtransformation cellとなり,それが異常増殖して悪性像を呈してくると推測される.本症の発癌はウイルス感染に起因すると示唆される病理所見なのでここに報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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