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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科36巻10号

1982年10月発行

文献概要

連載 皮膚病理の電顕・16

付属器腫瘍(Ⅴ)—エクリン汗口腫

著者: 橋本健1

所属機関: 1

ページ範囲:P.1032 - P.1037

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エクリン汗口腫
 図43 皮膚附属器腫瘍の中でも,特に分化の方向のはっきりしたものにエクリン汗口腫がある(図43A).エクリン汗管の表皮を通過する部分はacrosyringium (終末導管部)と呼ばれ,表皮稜の中でも巾の広いものである1).この部分は独自の細胞集団よりなり,その底部では表皮基底層とは別個に細胞分裂が行われ,この部分の再生と維持を行っている1,2).細胞分裂が表皮基底層よりかなり下方で行われている故か,日光性角化症などで,周囲の表皮が前癌性の変化を起こしても,この部分は正常な場合が多い1)
 このように特殊な細胞集団より発生し,その構造に向かって分化する腫瘍があっても不思議ではない.事実Pinkus等3)によって1956年に記載されたエクリン汗口腫は種々の点で終末導管部に類似した腫瘍である.すなわち,(i)好発部位はエクリン汗腺の多い足蹠である.(ii)腫瘍は表皮と連絡し,表在性である.小円形で好塩基性の細胞よりなり,表皮基底細胞に似るが(図43C),より円形で,やゝ大きい.(iii)多量の糖原を含むが(図44G),メラニンを含有しない.(iv)腫瘍中に大小の間隙を含み,そのあるものは腫瘍外のエクリン導管に連続する(図43B-F).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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