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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科36巻2号

1982年02月発行

原著

特異な皮膚症状が先行した白血性悪性リンパ腫

著者: 細井洋子1 浅井芳江1 濱田稔夫1 上野隆己2 北条憲二3 平峯千春3

所属機関: 1大阪市立大学医学部皮膚科教室 2大阪市立大学医学部内科学第2教室 3大阪市立大学医学部病理学第2教室

ページ範囲:P.133 - P.139

文献概要

 47歳,男.大阪府出身.初診の4年前より全身に紅色丘疹および点状出血斑(組織学的にPautrierのmicroabscess様所見を伴う真皮上層の単核性細胞浸潤)を生じ,ステロイドクリームのO.D.T.により皮疹は軽快した.初診1年後,発熱とともに顔面,四肢に紅色浸潤性丘疹を生じ,両鼠径リンパ節腫脹(異型単核性細胞の副皮質域浸潤)および肝脾腫がみられた.末梢血所見では白血球48, 800/mm3,リンパ球84%で異型リンパ球を含んでいた.Prednisoloneおよびvincristineを併用し,丘疹およびリンパ節腫脹はほぼ消失した.翌年,発熱とともに全身リンパ節の著明な腫脹をきたし,リンパ節は悪性リンパ腫細胞のびまん性浸潤におきかえられ正常構造は破壊されていた.VEMP療法,放射線治療を行なうも効果なく,末期には白血化をきたし死亡した.剖検で全身リンパ節,諸臓器にリンパ腫細胞のびまん性浸潤がみられたが,骨髄の侵襲はごく軽度であった.
皮疹を初発する悪性リンパ腫症例は少ない.本例は特異な皮疹を先行した興味ある症例であり,組織学的には非ホジキンリンパ腫のpleomorphic type (おそらくT細胞性)に相当すると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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