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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科36巻2号

1982年02月発行

文献概要

薬剤

悪性黒色腫に対するDacarbazine(DTIC)の臨床的研究

著者: 池田重雄12 石原和之1

所属機関: 1DTIC研究グループ 2埼玉医科大学皮膚科教室

ページ範囲:P.183 - P.188

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はじめに
 本邦における悪性黒色腫による死亡数は,昭和54年人口動態統計によれば240人であり,近年はやや上昇の傾向にある.本症の治療はできるだけ早期に発見し,十分な外科療法を行うことが第一であることは論を待たないが,初期症状が余りに目立たず,患者が見過しやすく,そのうえ症状の進展が速いため,残念ながら早期における適切な外科治療が及ばない場合が多い.
 Dacarbazinc(DTIC)は1959年に初めて合成され,米国National Cancer Instituteが中心となって基礎研究,臨床研究を行って開発された抗癌剤である1,2).実験腫瘍ではL 1210白血病,Sarcoma 180などに対する効果が認められ3),臨床的には悪性黒色腫に対し特に高い効果が認められた4〜6).悪性黒色腫は化学療法に反応しにくい腫瘍であり,それまで多数の抗癌剤が試みられてきた7,8)が,満足しうる成績が得られていなかった.しかし,DTICが開発されるに及んで,DTICを中心に,他のいくつかの抗癌剤との組み合わせによる化学療法が一般に行われるようになっている,DTICは米国においては1975年に市販が許可され,現在では世界各国で使用されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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