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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科36巻4号

1982年04月発行

原著

脂肪肉腫の1例

著者: 牧田敦宣1 柳川茂1 三比和美2 土屋真一3

所属機関: 1埼玉県立がんセンター皮膚科 2埼玉県立がんセンター血液 3埼玉県立がんセンター病理

ページ範囲:P.405 - P.410

文献概要

 71歳女性の左手関節と左膝関節部皮下に発生した脂肪肉腫の1例を報告した.病理組織所見から本例はWHO分類およびHajduらの分類でいうpleomorphic typeに相当し,腫瘍細胞にはSudan III染色で多数の脂肪滴を証明した.電顕的に腫瘍細胞の細胞質内には多数の粗面小胞体,異型ミトコンドリアおよび脂肪滴を認めた.本症例は左手関節と左膝関節とに同時に発生した脂肪肉腫で,両部位とも脂肪肉腫の好発部位であること,両腫瘤の出現に約4年半と比較的長期の差があること,および肺,肝などに転移巣が認められなかったことから多中心性の脂肪肉腫と思われる.
AdriamycinとDTICとによる化学療法を施行し,手関節部腫瘤の著明な縮小を認めた.本療法は最も予後の悪いとされているpleomorphic type liposarcomaに対しても有効であり,本症の延命効果を期待しうる治療法の1つであると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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