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文献概要
薬剤
Kojic Acid外用による肝斑の治療
著者: 中山秀夫1 渡辺直昭2 西岡和恵3 早川律子4 比嘉良喬5
所属機関: 1済生会中央病院皮膚科 2渡辺皮膚科 3山口大学医学部皮膚科 4名古屋大学分院皮膚科 5三省製薬株式会社
ページ範囲:P.715 - P.722
文献購入ページに移動肝斑(chloasma又はmelasma)は思春期以後の女子顔面に生ずる褐色の非炎症性色素沈着症のひとつで,その発症原理は,melanocyteの機能亢進によりひきおこされた表皮細胞核上部melanosomeの量の増大と考えられている1).肝斑はある程度高度になると,vitamin Cの連続内服位では改善しないことが多く,皮疹が目立つ場合には,女性にとってかなりの悩みの種になる.本症は治療の歴史の上で余りに強いmelanin合成抑制効果を求めすぎたために,かえって昭和30年代にhydroqui—none monobenzyletherが難治の斑状〜網状の白斑を副作用として生じたことがあり2,3),そのためによりmildでありながら日本ではhydroquinoneが外用剤としての許可を得られない現状にある4).事実,5%hydroquino—ne creamは肝斑に対して十分に有能な外用剤であるが5),筆者らの経験でも変色しやすいこと,無効例もあること,稀に皮膚炎を生じて不適合例のあることが認められ,今後肝斑に対する外用薬はhydroquinoneも含めて強弱何種類かのmelanin合成抑制剤を選択して使いうれば理想的ではないかと思われる.
肝斑は本来,純美容上のみの疾患であるため,肝斑治療用の外用剤には以下のことが要求される.
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