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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科36巻7号

1982年07月発行

文献概要

これすぽんでんす

Inflammatory Linear Verrucous Epidermal Nevus(ILVEN)とPorokeratosis of Mibelli

著者: 木村俊次1

所属機関: 1慶応大学

ページ範囲:P.726 - P.726

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 宮入氏らの論文「特異な臨床像を呈したInflammatory Linear Verrucous Epidermal Nevus」(本誌,36(4);411,1982)を興味深く拝見しました。ILVENと鑑別を要するものとして,宮入氏らも記載されているごとくいくつかの疾患があげられますが,宮入氏らの症例に関しては,Porokeratosis of Mibelliのとくに列序型1)との鑑別を十分に行う必要があるように思われます.
 すなわち,まず図3で"本来の皮疹"とされているものは,写真でみる限り中央に皮丘・皮溝はみられず萎縮性かつ平滑であり,また辺縁部には多少の隆起も認められるようであることから,Porokeratosisの臨床所見として矛盾しないと思われます.また手背の脱色素性苔癬化皮疹は,やはりPorokeratosisの角質増殖型1)あるいは炎症性増殖型2)として矛盾しないようです.さらに色素沈着性皮疹については,Porokeratosisにも色素沈着を伴うものがあること1,3),および稀ながら自然退縮をきたす場合には辺縁部の隆起が消失すること1)から,これもPorokeratosisの臨床所見の1つと考えて差しつかえないと思われます.一方,自覚症状に関しても瘙痒を伴うことが少なくないこと4)から,これをもってPorokeratosisを否定することはできないと考えられます.皮疹の列序性配列はILVENのみならずPorokeratosisの列序型の1つの特徴となっています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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