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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科36巻8号

1982年08月発行

文献概要

原著

髄膜炎を併発した帯状疱疹の1例

著者: 森嶋和子1 森嶋隆文23

所属機関: 1梅島診療所皮膚科 2日本大学医学部皮膚科教室 3駿河台日大病院皮膚科

ページ範囲:P.797 - P.801

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 胸神経領域の帯状疱疹と髄膜炎とがほぼ同時期に発症した42歳,男子例を経験し,脳脊髄液中の各種ウイルスの抗体価の推移を検討した.初診時,血清では4倍以下,髄液では1倍以下であったVZVに対するCF抗体価は,第2および第4病週ではそれぞれ,128倍,2倍と上昇したとの結果をえ,髄膜炎の発症機序を該当神経節からのVZVの髄膜への直接侵襲によるものと考えた.わが国における帯状疱疹脳炎・髄膜炎の臨床的特微は以下の如くである.1)神経症状は皮疹の出現に相前後して1週以内に発症する.2)皮疹の重症度とは相関しない.3)皮疹の罹患部位は脳神経領域と脊髄神経領域とは半々である.4)重篤な基礎疾患を有する例はむしろ少ない.5)生命に対する予後は良好である.6)約60%は完治,その他は後遺症を残した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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