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文献概要
原著
女子顔面黒皮症と誤れる両側性太田母斑
著者: 荻野篤彦1
所属機関: 1国立京都病院皮膚科
ページ範囲:P.875 - P.878
文献購入ページに移動 女子顔面黒皮症と類似する顔面の色素沈着症の5例を経験し,その臨床像と組織学的所見から両側性太田母斑の一型と考えた.全例とも38歳以上の中高年女性で,30〜40代に発症しており太田母斑としては遅発性といえる.色素斑の分布は額部全体またはその両辺縁あるいは両こめかみに対称性に生じ,びまん性ないし色素斑が融合する傾向を示し,色調は黒褐色ないし灰褐色である.さらに頬骨部および眼周囲に紫褐色ないし灰褐色の小色素斑が散在している.本症例は真皮メラノサイトを認める点で太田母斑の範疇に入れられるが,色調は青みがほとんどなく,両側対称性で,遅発性であり,限球メラノーシスおよび口蓋色素沈着を認めないことより通常の片側性太田母斑とはかなり異る.なお本疾患は女子顔面黒皮症,肝斑,雀卵斑などと臨床的に類似するので鑑別診断が重要である.
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