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文献概要
原著
日光曝露部に小紅斑の多発をみた麻疹の1例
著者: 吉田正己1 本藤良2 青山友三2
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部皮膚科教室 2東京大学医科学研究所病理学教室
ページ範囲:P.973 - P.977
文献購入ページに移動海水浴後に生じた麻疹の小紅斑の分布を,日光曝露部と海水着で被覆された部位とで比較すると,初診日,小紅斑は後者より前者に多数生じていたが,翌日には後者も前者とほぼ同様に小紅斑の数を増していた.
大腿部の紅斑を第3皮疹日に生検した病理学的所見では表皮に著変なく,真皮上層の小血管拡張とその周囲に浮腫とリンパ球,組織球の浸潤を認めるのみで,これだけでは非特異的所見であった.しかし,このホルマリン固定パラフィン包埋切片を脱パラフィン後トリプシン処理し,免疫螢光間接法にて検索した結果,真皮上層の小血管内皮細胞,血管内および周囲のリンパ球の細胞質内に麻疹ウイルス特異抗原を検出した.これらの所見から麻疹にみられる紅斑の発症機序を真皮小血管内皮細胞の麻疹ウイルス特異抗原に対する免疫学的反応と考えた.また小紅斑が特異な分布を生じた発症病理については,日光曝露部の真皮小血管内皮細胞には被覆部のそれより早く麻疹ウイルスが侵入するために生じると推察した.
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