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原著
文献概要
31歳,女性.増悪期に水疱の出現をみたSLEの1例を経験した.水疱は躯幹および四肢に散在し,小豆大までの小水疱で,個疹は一見ヘルペス様であった.水疱性疾患の合併を考慮して検索したところ,1)水疱部の病理組織所見は,基底細胞の著明な液状変性がみられ,水疱は液状変性に連続して形成されているように思われ,棘融解はみられず,2)直接免疫螢光法では,無疹部,紅斑部,水疱部ともに表皮真皮境界部に,IgG,IgM,C3の沈着を認めたが,IgAの沈着はみられなかった.3)皮膚成分に対する血中抗体の検索では,抗核抗体を認めた以外,表皮細胞間や表皮真皮境界部への抗体はみられなかった.4)電顕所見では,基底細胞の空胞変性と断裂を示したが,基底細胞とbasallaminaとの接合は保たれていた.以上から,本症例にみられた水疱はSLEの皮膚病変であり,高度の液状変性が水疱形成の原因と考えられた.
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