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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科37巻12号

1983年12月発行

文献概要

原著

獲得性IgA単独欠損症を併発したMCTDの1例

著者: 北島淳一1 辻卓夫1 細井洋子1 濱田稔夫1 佐藤博之2

所属機関: 1大阪市立大学医学部皮膚科教室 2大阪市立大学医学部第3内科教室

ページ範囲:P.1085 - P.1089

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 30歳,女性.初診の約15年前より手足のしびれ感,6年前よりレイノー症状,関節痛が存在している.手指腫脹,手指尖潰瘍,表在リンパ節腫脹,筋力低下などの自他覚症状とともに,臨床検査所見では,赤沈亢進,軽度貧血,高γ—globulin血症,CPK,aldolase高値,およびspeckled型抗核抗体陽性,抗RNP抗体高値陽性,抗Sm抗体陰性,低補体血症,血中immune complex上昇が認められ,螢光抗体直接法にて表皮細胞核にIgGの沈着を認める.以上よりMCTDと診断した.橋本病,Sjögren症候群の合併もみられた.自験例にて注目すべきことは,4年前に正常であった血清IgAが10mg/dl,唾液IgAが1mg/dlと著減し,他の免疫globulinに低下がみられないことで,獲得性IgA単独欠損症を併発したと考えられる.本症例のような自己免疫疾患に伴う免疫不全は続発性として別個に考えるのではなく,基盤としての免疫異常に基づくものとして,それらを一体として把握すべきものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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