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原著
チアミンジスルフィド注射剤による局所型紫斑型薬疹
著者: 中村義朗1 青木敏之1
所属機関: 1大阪府立羽曳野病院皮膚科
ページ範囲:P.1105 - P.1108
文献購入ページに移動 一医院でチアミンジスルフィドを主成分とする注射剤の静脈注射を受けた77歳と62歳の婦人に,注射部位に一致して溢血がみられた.1例は2日後に同部位に同注射を受け,溢血が拡大するとともに著明な上肢の腫脹を来した.この症例では一過性の出血傾向が認められたが,注射剤によるパッチテスト,皮内テストは陰性であった.著者らおよび製薬会社が患者に注射されたのと同一ロットの注射液と別ロットの注射液とを比較しながら,動物において皮内注射による血管透過性試験,静脈注射を行ない,化学検査としてpH測定,電気伝導度の測定,薄層クロマトグラフィー,細管式等速電気泳動法を行なったが.両者間に有意な差を認めなかった.両婦人はそれぞれ神経痛の悪化,感冒様症状が先行していたので,何らかの感染症があって,それが誘因となって出血傾向を来し,そこに注射剤の化学的刺激が加わって,注射部位を中心にこのような症状をおこしたものと推定した.
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