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原著
特発性陰嚢石灰沈着症—自験例の報告とその発症機序について
著者: 大草康弘1 長島正治1
所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.137 - P.140
文献購入ページに移動 43歳,男性に発症した特発性陰嚢石灰沈着症の1例を報告した.主訴は約半年前から陰嚢にみられた自覚症状のない結節で,初診時大豆大および小豆大の表面平滑・半球状に隆起した黄白色の硬い結節を2個認めた.組織学的には,真皮中層から肉様膜にかけて,上皮性壁を欠く大小の石灰沈着巣が認められた.石灰沈着巣はジアスターゼ抵抗性PAS陽性,ヒアルロニダーゼ抵抗性コロイド鉄並びにアルシャンブルー陽性,トルイジンプルーで異染性を示し,ヘパリチン硫酸の存在が考えられた.また,その周囲に多くは脱顆粒を示す肥満細胞が多数認められた.
以上の所見から本症はcutaneous calculusの場合と同様,なんらかの原因により陰嚢に肥満細胞が集積・脱顆粒をきたしヘパリチン硫酸を放出し,これに石灰が沈着して発症すると考えた.
以上の所見から本症はcutaneous calculusの場合と同様,なんらかの原因により陰嚢に肥満細胞が集積・脱顆粒をきたしヘパリチン硫酸を放出し,これに石灰が沈着して発症すると考えた.
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