臨床皮膚科37巻4号

1983年04月発行

原著

躯幹，四肢に発生した特異な色素沈着症について—第1報

著者： 谷垣武彦¹ 畑清一郎¹ 喜多野征夫¹ 野村政夫¹ 佐野栄春¹ 遠藤秀彦² 津田道夫² 橋本誠一³

所属機関： ¹大阪大学医学部皮膚科教室 ²兵庫医科大学皮膚科教室 ³住友病院皮膚科

ページ範囲：P.347 - P.351

文献概要

　19〜31歳の青年男女の背部，胸部，四肢の骨が突出した部分に一致して淡褐色〜暗黒褐色の色素沈着を生じた症例を6例まとめて報告した．6例中5例に3〜10数年間にわたり健康タオルの使用歴があった．皮疹の分布状態，パッチテスト，病巣部の組織学的所見などから，この色素沈着は健康タオル，タワシで皮膚に摩擦，圧迫などの機械的刺激を加えて発生してきたものと考えられた．このような色素沈着は最近は増加の傾向があり，更に症例を追加して原因を確認し，健康タオルに起因したものであれば，その正しい使用方法を徹底して指導する必要があろう．