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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科37巻6号

1983年06月発行

原著

悪性血管内皮細胞腫と第VIII因子関連抗原

著者: 赤城久美子1 清野和子1 北郷修1 坂東正士2 椎名芳男2 村瀬卓平3 林幸子4

所属機関: 1東京都立駒込病院皮膚科 2東京都立駒込病院形成外科 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.543 - P.547

文献概要

 67歳,男の左側頭部に生じた典型的な悪性血管内皮細胞腫の1例.4カ月前から小腫瘤が出現し,難治性の潰瘍を形成.広範囲切除植皮術を施行したが,3カ月後に再発.再び切除,化学療法,放射線照射を行なったが脳転移をきたして死亡した.組織像は紡錘形ないし卵円形の異型性の強い腫瘍細胞が増殖して,一部に管腔の形成がみられる.今回われわれはPAP法(peroxidase-antiperoxidase complex method)によって,この腫瘍細胞内に第VIII因子関連抗原が局在しており,腫瘍細胞が管腔を形成する部位では特に強く染まることを認めた.さらに他の血管性病変にもこの方法を用いて検討し,正常の毛細血管,小動静脈の血管内皮細胞が特に強陽性で,悪性血管内皮細胞腫では染色性が低下していることを観察した.第VIIII因子関連抗原は血管内皮細胞の特異的markerであり,腫瘍性病変の由来や血行の動態を知る上で,重要な物質である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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