臨床皮膚科37巻8号

1983年08月発行

原著

小児の粘膜苔癬

著者： 向井秀樹¹ 西山茂夫¹

所属機関： ¹北里大学医学部皮膚科教室

ページ範囲：P.691 - P.695

文献概要

　4歳，女児．約1年前より左紅口角部に白色のビラン面出現．漸次，左頬粘膜にまで拡大し，右頬粘膜にも同様の発疹が出現．病理組織学的に，典型的苔癬型反応と診断した．1955年から1981年までに，報告された扁平苔癬は総数2,511例であり，好発年齢は30〜60歳台が最も多い．自験例の如く10歳以下の小児に発症した症例は，27例（0.01％）と極めて稀であり，さらに粘膜に限局して発症したとする報告は自験例のみであった．最後に，当院開院以来10年間に経験した扁平苔癬93例に関し，若干の統計的考察を加えた．