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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科37巻9号

1983年09月発行

文献概要

原著

生前に肺病変を確認した菌状息肉症

著者: 重本圭子1 姉小路公久1 田口洋2 鈴木恒道3

所属機関: 1東京警察病院皮膚科 2東京警察病院外科 3東京警察病院病理

ページ範囲:P.789 - P.794

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 55歳,女.25年前,乾癬様皮疹で始まり,皮疹の一進一退をくり返しつつ,末期の2年間に急速に皮疹が拡大,増悪し,腫瘤,潰瘍形成がみられ,多剤併用化学療法(COP,メソトレキセート)及びデルモパン療法を試み,皮膚症状は一時軽快したが,その後皮疹の再燃,著明な肺病変が出現し死亡した菌状息肉症の1剖検例を報告した.本症例の肺病変は,左肺野のcoin lesionに始まり,左肺門影の拡大,肺門部気管支周囲リンパ節腫大へと進展し,気管支鏡下生検により菌状息肉症の肺病変であることを確診し,COP療法,コバルト照射により,一時陰影の縮小がみられたが,その後再び肺門腫瘤影の増大,右肺にも浸潤影が出現し,末期には胸水貯留を伴うなど,多彩なX-P所見を呈した.生前に本症の肺病変が確診されることは稀であるが,本症に肺病変をみた場合には,治療上からも,生検による組織学的診断が必要と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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