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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科38巻10号

1984年10月発行

文献概要

原著

平滑筋肉腫の皮膚転移

著者: 橋爪鈴男1 久保和夫1 徳橋至1 下田祥由1 袖本幸男2 牛込新一郎2

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学皮膚科教室 2聖マリアンナ医科大学第二病理学教室

ページ範囲:P.947 - P.953

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 患者は43歳,女性で,3年半前に子宮筋腫の診断のもとに子宮全摘術をうけている.初診3〜4カ月前に数個の小豆大までの頭皮下結節に気づき来院.リンパ節は触知せず.転移性皮膚腫瘍の診断にて生検を行なった.皮下病巣は分化度の高い平滑筋肉腫で,紡錘形細胞の集簇からなる境界鮮明な結節として認められた.腫瘍細胞は不規則,相互に交錯する束状構造をつくり,非常に密に増殖していた.核は比較的異型性に乏しいが,核分裂像をかなり認めた.酵素抗体法にてミオシン染色は陽性を示した.微細構造的にも平滑筋細胞構造を呈しており,平滑筋肉腫の皮膚転移と診断した.両肺に多発性転移を認めた.子宮筋腫とされた組織の再検討にて,子宮原発と考えた.平滑筋肉腫の皮膚転移は,皮膚科領域ではきわめて稀であり,文献的検討を行なった.その結果,頭部への転移が比較的多いことや,転移時期は他の悪性腫瘍に較べ,やや遅いことなどが認められた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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