icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科38巻10号

1984年10月発行

文献概要

原著

陰茎に単発した神経鞘腫の1例—特にS−100蛋白染色について

著者: 西尾達己1 森理1 加治英雅1

所属機関: 1久留米大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.983 - P.986

文献購入ページに移動
 陰茎に単発した神経鞘腫の1例を報告し,本邦皮膚科領域で発表された96例と併せて統計的観察を行なった.症例は19歳男性で,約8年前より陰茎体に丘疹を認め,漸次大きくなった.組織学的には,真皮内の溝い線維性被膜に囲まれる腫瘍でVerocay bodyも存在する.Bodian染色は陰性,alcian blue染色は弱陽性.PAP法によるS−100蛋白の染色では腫瘍細胞のほとんどすべてが陽性で,neurofibromaとは染色パターンに差がみられた.
 統計上では単発59例,多発38例で,多発例は男性に多く,発症年齢が低く,他臓器にも腫瘍の合併する例が多かった.これらの点から,多発性神経鞘腫は先天的な神経系の奇形的変化を基盤とする母斑症の1症状と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?