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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科38巻11号

1984年11月発行

文献概要

原著

プロトポルフィリンNa製剤(NAPP)によると思われるポルフィリア様皮疹の1例

著者: 池澤善郎1 長岡英和1

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.1039 - P.1043

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 70歳,女性.プロトポルフィリンNa製剤(NAPP)服用中に生じたポルフィリア様皮疹を経験した.初診時,顔面,耳介,前胸部,手背に水疱を伴う浮腫性のびまん性紅斑がみられた.皮疹は日光照射後しばらくして出現したという.手背の皮疹は組織学的に真皮上層から中層にかけた血管周囲性の軽い小円形細胞浸潤で,その血管壁はPAS染色陽性であった.ポルフィリン(ポ)体の検査によって尿中のコプロポルフィリン(CP)は陽性,糞便中のプロトポルフィリン(PP)とドイトロポルフィリン(DP)・メソポルフィリン(MP)は強陽性,そして赤血球のポ体は陰性であった.その後,NAPPの服用中止によって尿中CPは5日後に疑陽性に,糞便中のPPとDP・MPは17日後に陰性となった.尿と糞便中のポ体の陰性化に伴い,皮疹の再発は認められていない.
 以上より,本症例はNAPPの長期服用によってもたらされたと思われる,血漿中CPの増加によるポルフィリア様皮疹であると推察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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