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原著
高齢者に初発した多発性毛嚢嚢腫症—稗粒腫およびEruptive Vellus Hair Cystsとの鑑別を中心に
著者: 木村俊次1
所属機関: 1国家公務員共済組合連合会立川病院皮膚科
ページ範囲:P.1097 - P.1101
文献購入ページに移動要約 十数年来,瘙痒性皮疹にて副腎皮質ステロイド剤外用中の69歳男子に,1,2年来黄色皮疹が多発.現症:頸部右側に約10個,左に約15個,右腋窩および肘窩に各2個,直径2〜5mmの黄色調小皮疹が散在多発.皮疹は表在性で皮膚面よりドーム状に隆起し,下床と可動で自覚症を欠く.両頸部にはステロイド皮膚萎縮もみられる.組織像:真皮内に大小の嚢腫が存在L,壁は菲薄化した2〜4層の重層扁平皮から成る.おおむね顆粒層を欠くが,一部に小型のケラトヒアリン顆粒が少数存在する.嚢腫壁は一部毛嚢脂腺系との連続性を有する.嚢腫内には層状の角質物質や無定形物質の他,少数の軟毛をみる.本例は多発性毛嚢嚢腫症(MFC)と診断したが,続発性稗粒腫やeruptive vellus hair cysts(EVHC)との鑑別を要した.3者について比較・検討したところ,表皮型角化を示すMFCとEVHCとは同症である可能性が示唆された.
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