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原著
嚢腫内容に骨様変化をみた足底表皮嚢腫
著者: 木村俊次1
所属機関: 1日野市立病院皮膚科
ページ範囲:P.277 - P.281
文献購入ページに移動 12歳,女子.左足底に約8カ月来皮下腫瘤あり.圧痛・腫脹・発赤を伴う.消炎後,小指頭大,白色調の腫瘤を摘出した.摘出腫瘤はきわめて硬く,十分な脱灰後ようやく切片作製が可能となった.組織学的に腫瘤は好酸性塊状物とその上半部周囲を被う嚢腫壁とから成り,嚢腫壁には顆粒層および好中球浸潤がみられた.塊状物は帯状ないし層状をなし,残存する角質物質に比べて複屈折像の著明な減少を示した.塊状物はまた網目状ないし層板状の嗜銀線維の存在を示した.塊状物中には明るい細胞が孤立性および集合性に存在し,これらはPASおよびコロイド鉄陽性を示した.以上の所見から本例を嚢腫内容そのものが化生的に骨ないし軟骨様変化を示した足底表皮嚢腫と診断した.文献的に表皮嚢腫に伴う骨形成はきわめて稀であり,自験例の如き嚢腫内容そのものの骨様変化ははじめてと思われる.
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