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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科38巻7号

1984年07月発行

文献概要

原著

無汗症を続発したコリン性蕁麻疹の1例

著者: 相原道子1 林正幸1 中嶋弘1

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.619 - P.623

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 無汗症を伴ったコリン性蕁麻疹の1例を報告した.患者は30歳の男性で,初診の約半年前から運動時や入浴時に,全身に白色の膨疹が出現するようになった.この頃から発汗の減少を訴え,初診の約半年後には全身性無汗症となった.ニコチン酸,10%塩化ナトリウム,塩化アセチルコリンの皮内試験で膨疹を形成し,前2者では衛星状の紅斑を伴った.アトロピン試験,アドレナリン試験は正常であったが,ピロカルピン投与による発汗試験は陰性であった.皮膚組織所見では,真皮中・下層の汗管周囲にリンパ球浸潤が認められたが,汗腺の周囲には細胞浸潤はみられず,管腔内にはエオジン好性の分泌物が認められた.PAS染色では,リンパ球浸潤を伴った汗腺で多数の空胞が認められた.
 以上報告するとともに,本例の後天性全身性無汗症の発症機序について考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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