icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科38巻9号

1984年09月発行

文献概要

原著

Paraneoplastic Acrokeratosisの1例

著者: 立花隆夫1 米沢郁雄1 武内重二2

所属機関: 1福井赤十字病院皮膚科 2福井赤十字病院脳神経外科

ページ範囲:P.841 - P.845

文献購入ページに移動
 79歳,女性.3カ月前より手足末端に紅斑,腫脹をみるようになり,さらには同部に角化病変を認めるようになってきたため本科を受診した.悪性腫瘍の合併を疑い頭頸部を含めた検索を行なったところ,肝右葉に径7cm大の腫瘍塊とトルコ鞍に一致した異常陰影を認めた.肝腫瘍は肝動脈造影で原発性肝細胞癌と診断し,抗癌剤の動注を行なったが皮疹に変化はみられなかった.下垂体腫瘍に対し経鼻的全摘術を行なったところ,術後1週間目より皮疹の改善を認めるようになった.
 下垂体腫瘍の病理組織学的診断は得られていないが,手足の特徴的な皮膚病変が同腫瘍摘出により消失したことより,自験例をparaneoplastic acrokeratosis (PNA)と診断した.また本例に見られた皮疹は,BazexらのいうPNA第一期もしくは第二期に一致する.我我が調べた限りでは本邦でのPNA報告例はなく,自験例を第1報と考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?