原著
成人T細胞白血病の1例
著者:
青山文代1
北村清隆1
清水史郎2
紺田進2
所属機関:
1国立金沢病院皮膚科
2金沢医科大学血液免疫内科教室
ページ範囲:P.869 - P.875
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成人T細胞白血病の1例を経験し,本邦皮膚科領域報告症例41例に自験例を加え,その特異疹を中心に検討し報告した.症例は57歳の女性,福島県いわき市植田町(海沿いの町)出身.全身のリンパ節腫大に加え,全身にくるみ大までの紅斑,浸潤性紅斑,結節の特異疹あり,表皮向性を認め,皮膚,リンパ節ともに組織像はmalignant lymphoma,diffuse,mixed type(LSG分類)を示した.末梢血および骨髄に分葉傾向をもつ核を有する異常リンパ球を各々39%,32.4%認め,その膜表面形質は末梢血,リンパ節ともにEロゼット陽性,OKT 3(+),T4(+),T8(-),抗ATLA抗体は患者および患者の息子3人共に陽性,リンパ節腫瘍細胞にATLV proviral DNAを認めた.著明な高Ca血症を示した他,多量の消化管出血あり,大腸に腫瘍細胞浸潤を思わす腫瘤形成を認め,経管栄養下に化学療法を行うも,間質性肺炎を併発,全経過6カ月にて死亡した.