icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科39巻4号

1985年04月発行

文献概要

原著

直腸癌を合併したProgressive Systemic Sclerosisの1例

著者: 嘉月博1 工藤昌一郎1 前川嘉洋1

所属機関: 1熊本大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.303 - P.306

文献購入ページに移動
 46歳,女性.初診2年前,手足のレイノー症状.顔面・四肢の浮腫性硬化が出現した.1年前より軟便.4カ月前より血便に気づいた.3カ月前より全身の皮膚硬化が出現,当科に入院後,全身性進行性強皮症(PSS)と診断され,精査により直腸癌(腺癌)が見出された.肝右葉に転移巣が認められたが,本院外科にて直腸切断術と肝動脈チュービングを施行した.術後も皮膚硬化は持続し,むしろ萎縮傾向を呈した.
 PSSと悪性腫瘍の合併率の欧米での報告は3〜5%であるが,1971年以降の本邦例は自験例を含め10例で,肺癌6例,消化器癌5例(重複例2例),肝癌1例で,肺と消化器系に偏っているうえ,2例に重複が認められたのは興味あることと思われる.PSSの中のある患者においては発癌機序に対する抵抗力の著明な減弱,腫瘍免疫能の低下が存在することを示唆する症例と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?