原著
Chylous Refluxの1例
著者:
大郷典子1
村井隆1
土井顕1
宗義朗1
所属機関:
1神戸市立中央市民病院
ページ範囲:P.317 - P.319
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32歳,男.16歳頃および32歳時に一過性に右大腿内側皮膚より乳糜の漏出を見,20歳頃乳糜尿を指摘された.右大腿浮腫状で,粟粒大乳白色水疱多数散在し,真皮乳頭層,真皮下層から皮下脂肪との境界付近にリンパ管の拡張があり,血中リン脂質,βリポ蛋白,コレステロールおよびIgAの低値も認む.リンパ管造影にて右大腿部での造影の遅延,右大腿から腸骨リンパ管さらに骨盤腔リンパ管に網目状,静脈瘤様拡張,蛇行がみられた.認むべき既往症がなく,lymphedema praecoxに伴うchylous refluxと思われた.Primarylymphcdemaに伴うchylous refluxの報告例は少ないが,皮膚症状としては,リンパ浮腫,小水疱,乳白色の小丘疹,皮膚からの乳糜の漏出,xanthomatosis, lymphangioma circum—scriptumおよびcapillary hemangiomaがあげられる.