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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科39巻5号

1985年05月発行

文献概要

原著

紅皮症から菌状息肉症へ移行した患者に有棘細胞癌が併発した1例

著者: 土屋雅則1 久保和夫1 橋爪鈴男1 徳橋至1 鰺坂義之1 石原和之2 早坂健一2

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学皮膚科教室 2国立がんセンター皮膚科

ページ範囲:P.407 - P.412

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 紅皮症にて経過観察中の53歳,男性が,右前腕伸側を蛇口にぶつけ潰瘍を形成.潰瘍は急速に拡大して辺縁に有棘細胞癌が発生.全摘し遊離植皮術を行うも,植皮片周囲より右上腕にかけて原病巣からの転移と考えられる小結節が次々と新生.種々の治療を行うも反応悪く,国立がんセンターに転院後死亡した1例を報告した.剖検は施行し得ず.紅皮症部位の組織検索では,真皮上層から中層に帯状の稠密なリンパ球様細胞浸潤を認めるも異型細胞は殆ど見られなかったが,国立がんセンターに転院後に施行したmonoclonal抗体を用いた酵素抗体法で,真皮の浸潤細胞がherpcr/inducer T細胞であることが確認された.また電顕で核に深い切れ込みのある細胞が認められたこと等を考慮すると,紅皮症から菌状息肉症への移行が考えられ,そこに有棘細胞癌が併発した稀有な症例と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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