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原著
甲状舌管嚢胞の1例
著者: 大澤幸一郎1 小野田進1
所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.425 - P.428
文献購入ページに移動 39歳,男性の胸骨上部にみられた甲状舌管嚢胞の1例を報告した.本症は胎生期における甲状舌管の遺残による嚢腫で,別名正中頸嚢胞とも呼ばれる.通常は舌骨を中心に認められるが,自験例のように胸骨上部にみられる例も少数報告されている.組織学的に本症は重層扁平上皮あるいは多列線毛上皮より成る嚢腫で,その細胞間にアルシャンブルー陽性物質を含んだ粘液細胞の介在をみる.甲状腺組織の迷入や自験例のようにリンパ濾胞様構造を認めることもある.甲状腺組織迷入例では乳頭状腺癌の発生が報告されており,全摘出術を施行することが望ましい.
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