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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科39巻7号

1985年07月発行

文献概要

原著

血中CEAの著明な高値を示した外陰Paget病の1例

著者: 木内一佳志1 三橋善比古1 三上英樹1 河村葉志子1 橋本功1

所属機関: 1弘前大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.615 - P.619

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 65歳,男性にみられた外陰Paget病の1例.初診時,すでに左大腿部皮膚に赤褐色小結節が多発散在,血清CEA値は著明な高値(670ng/ml)を示した.その後,血清CEA値は病巣の拡大とともに上昇(1079ng/ml)し,治療により病巣が縮小するのに伴って低下(500ng/ml)した.酵素抗体法により,腫瘍細胞内にCEAの存在が証明されたことから,著明な高値をみた血中CEAは,主に本腫瘍細胞に由来し,その増減は病巣の消長および腫瘍細胞の活動性を反映したものと考えた.同時に検索した病巣部におけるkeratin,S−100蛋白,lysozymeおよびα—fetoproteinでは,keratinが腫瘍細胞に弱陽性であったほかは,すべて陰性であった.また,同一の一次抗体を用いたPAP法による汗器官の染色態度と比較すると,Paget細胞はエックリン汗腺の導管部,分泌部の表層細胞およびアポクリン汗腺の導管部のそれと同じであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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