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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科39巻9号

1985年09月発行

文献概要

原著

悪性黒色腫におけるびまん性色素沈着

著者: 長尾貞紀1 丹野和穂2 鈴木正夫1 佐藤紀夫1 飯島進1 皆川禎子3

所属機関: 1福島県立医科大学皮膚科教室 2丹野皮膚科医院 3白河厚生病院皮膚科

ページ範囲:P.785 - P.790

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 びまん性色素沈着を併発した悪性黒色腫の1例を報告し,色素沈着の発症機序を考察した.症例は57歳,男.右下肢の黒色腫転移巣のため受診し,10カ月後右心耳を初めとして全身諸臓器に播種状の転移を来して死亡した.死亡約1カ月前よりmelanin尿陽性となり,徐々に上半身に暗褐色びまん性色素沈着を生じた.これは組織学的に表皮melaninの増加と多数の真皮melanophageによるものであった.電顕的には真皮melano—phageにあるmelanosome complex (m.—c.)は黒色腫転移巣にみられるm.—c.と区別できないものであり,同様のm.—c.は真皮の血管内皮細胞・細胞間隙にもみられた.こうした所見から真皮のmelaninは黒色腫転移巣から血行性に流入してきたものと思われた.また表皮turn overの低下によるmelanosomeの表皮内の蓄積とcolloid小体を介した組織学的色素失調による真皮melaninの増加も推察された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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