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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科40巻1号

1986年01月発行

文献概要

原著

コルチコステロイド外用により生じた稗粒腫について

著者: 格谷敦子1 辻卓夫1 田中律子1 幸野健1 濱田稔夫1

所属機関: 1大阪市立大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.9 - P.14

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 症例は高齢者(平均72歳)ばかりの9例で,種々の皮膚疾患のため,様々なコルチコステロイド外用剤を使用していた.稗粒腫が出現するまでの期間は約1〜9年(平均5.6年)である.小さな表面平滑な白色丘疹が数個〜多数,主として前頸部〜上胸部に出現した.なお全例において皮膚萎縮と毛細血管拡張が先行していた.組織学的には真皮上層〜中層に存在するepidermal cystで,cyst壁と毛嚢が連続する像や内腔に毛が存在することより,生検した16個の稗粒腫のうち14個(87.5%)が毛嚢由来であることが明らかにされた.今回の稗粒腫はretention cystであることが示唆され,発生に老人皮膚とステロイド外用剤長期使用の2条件が関与すると考えられた.またcystの発生機序として,①萎縮皮膚への機械的刺激による表皮剥離とその再生による毛嚢開口部の閉塞,あるいは②毛嚢周囲の結合織が変性し,疎になることによる毛嚢上部の開大と毛嚢開口部の閉塞の2つの可能性を考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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